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名盤コレクション24 マーラー/交響曲第5番~第4楽章(ワルター/VPO)

名盤コレクション24

■マーラー/交響曲第5番~第4楽章「アダージェット」
 ブルーノ・ワルター/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 1938年1月15日(セッション録音)

今、マーラーの第5番は、来日オーケストラが最も頻繁に取り上げる曲のひとつだろう。
マーラーの交響曲としては長さもそれなりだし、独唱を伴わないので、取り上げやすいという面もあるだろう。
何より人気がある。第4楽章「アダージェット」と、それに続く第5楽章の解放感との対比が聴いていて気持ちがいいのだ。

ワルターが生きていた時代、この曲はまだメジャーではなかった。ただ、「アダージェット」だけは有名で、単独でよく演奏されたらしい。
1927年のメンゲルベルクによる録音も残っている。

マーラーが残した、最も美しい音楽。そればかりか、「クラシック音楽で最も美しい曲は?」というアンケートがあれば、必ず上位にランクされる曲。
「自分の葬儀にはこの曲を流してほしい」という音楽ファンは多い。(実際によく流れている)


この「アダージェット」を、歴史的な第9番のライヴ前日にスタジオ録音した事実は興味深い。
ナチスドイツによるオーストリア併合の2か月前と言う、この時期にマーラーを演奏するというのは、非常に危険なことである。
文字通り、命がけの演奏だった。
ワルターとしては、この曲だけは録音しておきたかったのではないだろうか。
ウィーンへの惜別の思いか、あるいは自身の遺言でもあったのだろうか。

・・・・・・

ところで、「アダージェット」という速度表記について

 ラルゲットはラルゴより「速い」
 アレグレットはアレグロより「遅い」
のであるから、
 アダージェットはアダージョより「速い」
が正しい。

そもそも、マーラーはなぜこの楽章に「アダージョ」ではなく「アダージェット」と表記したのだろう。
そんなことを考えたのは、アバド/BPO盤(1993年)が出た時だ。第4楽章が9分1秒と、結構早いテンポだったからだ。

ワルター/VPO盤は7分57秒である。これは結構早い。

以下、主な盤のタイミングをいくつか挙げて見る。
 ワルター/NYP 47年 7分36秒
 ショルティ/CSO 70年 9分50秒
 カラヤン/BPO 73年 11分51秒
 ブーレーズ/VPO 10分59秒
 バーンスタイン/VPO 87年 11分12秒
 テンシュテット/LPO 84年大阪ライヴ 12分5秒

10~11分程度の場合が多い。ワルターの7分代は際立っている。
ワルターはマーラー自身の演奏をよく知っていたはずなので、これぐらいがマーラー自身の考えに近いのではないかと思う。
マーラーはメンゲルベルクを高く評価していたらしいのだが、そのメンゲルベルクは7分10秒ほどで演奏している。

だからバーンスタインやテンシュテットの解釈が間違っているなどと言うつもりは全くない。
マーラー自身の表記も、「アダージェット 非常に遅く(Sehr langsam)」なのだから、矛盾しているような気がしないでもない。

個人的はバーンスタインのスピードが胸にぐっと応えるのである。

※追記
Wikipediaに、この楽章は別名「愛の楽章」とも呼ばれる、との記述があるが、そんな俗称は聞いたことがない。明らかに間違った記事である。
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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