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名盤コレクション16、17 ショスタコーヴィッチ/交響曲第7番(バーンスタイン&バルシャイ盤)

ショスタコーヴィッチ/交響曲第7番「レニングラード」

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レナード・バーンスタイン/シカゴ交響楽団
1988年録音

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ルドルフ・バルシャイ/ユンゲ・ドイチュ・フィルハーモニー&モスクワ・フィルハーモニー団員
1991年録音


ショスタコーヴィッチは生涯に15曲の交響曲を書いたが、最も人気が高いのは「革命」というニックネームを持つ第5番とこの第7番だろう。
第7番は、ショスタコーヴィッチの交響曲の中でも最も長大かつ巨大な編成の楽曲だが、その特異な作曲の経緯から「壮大なる駄作」という評価もある。


ナチスドイツは1941年9月8日から、レニングラードを900日近くに渡って包囲した。世に言う「レニングラード攻防戦」あるいは「包囲戦」である。
レニングラードはその包囲に耐え抜き、1944年1月27日に解放された。
この攻防戦において、レニングラード市民の死者は50万人とも100万人とも言われていて、正確なところはわからない。

交響曲第7番は1942年3月、包囲されたレニングラードで作曲され、臨時首都クイビシェフで初演された。
そのような経緯で作曲されたため、この作品は公式には「ナチスドイツに蹂躙されたレニングラードの悲劇と、ファシズムと戦った市民の抵抗と勝利」を表現したものとされる。

ショスタコーヴィッチは、純粋に反ファシズムを表現したのかも知れないが、その経緯を考えると、ソビエト連邦という国家によるプロパガンダ音楽という見方もできる。「壮大なる駄作」という評価の理由だろう。

後にヴォルコフによる「ショスタコーヴィッチの証言」の中で、この作品はナチスドイツだけではなく、スターリンによる圧政にも向けられたものだ、ということを言っている。
この「証言」の影響もあり、現在では第7番の再評価の動きが高まっていると考えることもできるだろう。
ただし、この「証言」の真偽に関しては異論も多いのも事実である。

ショスタコーヴィッチの真意が、純粋に反ファシズムにあったのか、スターリン主義も含めた圧制にも向けられたものか、はたまた国家的プロパガンダに加担したものか、今となってはわからないが、個人的には率直に、戦争や圧政というもの全般に向けられた抗議であると考えたいと思う。

この曲を初めて聴いた時、大方の人も同じだろうが、第1楽章の「戦争の主題」に心を奪われた。
ラヴェルの「ボレロ」を想起させる小太鼓のリズムの上に、どこか牧歌的なテーマが繰り返されるうちに、次第に不安と恐怖が支配するようになり、最後は暴力的なまでに戦争の惨禍が表現される。その作曲技法の巧みさは音楽の醍醐味であると言って良い。
なるほど戦争とか圧制というものは、こんな風にやってくるという表現か。現代の日本に生きる我々にも無縁の問題ではないということを肝に銘じておきたい。

両端楽章の壮大さが際立つ作品だが、ショスタコーヴィッチ特有のシニカルで機知に富んだ第2楽章、弦楽合奏が古典的な美しさを漂わせる第3楽章も聞き逃せない。


楽譜はマイクロフィルムに収められ、極秘でアメリカに運ばれた。
1942年7月には、トスカニーニ指揮のNBC交響楽団の演奏が全世界にラジオ中継された。
作品は反ファシズムの象徴として熱狂的に受け入れられ、翌年にかけて62回も演奏されたという。

バルトークは、国家によるプロパガンダに手を貸したとしてこれに反発し、「管弦楽のための協奏曲」の第4楽章で、「戦争の主題」をパロディとしてショスタコーヴィッチを痛烈に揶揄した。
「戦争の主題」が、戦争を茶化したように感じて我慢がならなかったのかも知れない。

反ファシズムの急先鋒だったトスカニーニと、反ナチスを貫いたバルトークと、立場は似ているが、全く違う反応を示したことは興味深い。
これも音楽の持つ奥深さかも知れない。


余談になるが、「戦争の主題」はバブル時代に、アーノルド・シュワルツェネッガーが出演した「アリナミンV」のCMで使われた。
「戦争の主題」に乗せて「チーチーンブイブイ」と歌われたCMを覚えているのは40代以上の人だろう。
Youtubeで視聴が出来るので、興味のある人はどうぞ。
やっぱりバブルは能天気な時代だったのだということがよくわかる。



今回は2点を取り上げる。

ひとつ目は、バーンスタインが37年ぶりにシカゴ交響楽団を指揮した歴史的コンサートのライヴ録音で、カップリングは同じくショスタコーヴィッチの1番。


ふたつ目は、独ソ開戦(1941年6月22日)から50周年を記念して、ドイツの若手演奏家からなるオケとロシアのオケの合同チームを、ロシア生まれの亡命ユダヤ人であるルドルフ・バルシャイが指揮したという、極めて象徴的かつ歴史的なライヴ録音である。
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ジャンル : 音楽

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