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軽井沢大賀ホールで「メサイア」を聴く

2017.12.16
長野県軽井沢町






ヘンデル/オラトリオ「メサイア」全曲

鈴木雅明(指揮とチェンバロ)
バッハ・コレギウム・ジャパン(管弦楽と合唱)
 森 麻希(ソプラノ)
 テリー・ウェイ(カウンターテナー)
 櫻田 亮(テノール)
 ドミニク・ヴェルナー(バス)

軽井沢大賀ホールは、ソニーの名誉会長だった故大賀典雄氏が寄贈した16億円の資金で建設され、2005年に開館した。
音楽家でもあった大賀氏の要望は、平行する壁面のないホールで、世界的にも珍しい正五角形平面のホールが実現した。
設計はKAJIMA DESIGN。音響設計は永田音響設計が担当した。
座席数は784。2階には、国内のホールでは珍しい立見席がある。







場所は軽井沢駅から400mほど。矢ヶ崎公園の一角にある。
前面にはカモが群れる静かな池の水面。
背景には雪を戴いた浅間山と離山と、これ以上ない絶好のロケーションにある。
これだけ風光明媚な場所に建つホールは少ないだろう。

バッハ・コレギウム・ジャパンは、毎年この時期、大賀ホールで「メサイア」を演奏している。
宣教師たちが多く滞在し、キリスト教と関係が深い軽井沢ならではの、特別な意味を持つ演奏会と言えるだろう。
「メサイア」は昨今、クリスマスの時期に合わせて演奏されることが多いが、キリスト教徒ではない我々にとっても、これを聴くのは特別な体験である。
「メサイア」は人類が生み出した最高の芸術作品と言っても過言ではない。エンターテインメントとしても第一級の普遍的価値がある。

実はバッハ・コレギウム・ジャパンによる「メサイア」を聴くのは今回が初めてではない。
2年前の12月、場所は彩の国さいたま芸術劇場での公演だった。
その時の演奏にも非常に感銘を受けたが、実は隣に座った人が終始落ち着きがなく、気が散ること甚だしかった。
今回は隣の人は静かに寝ていてくれたので、終始音楽だけに向き合うことが出来た。(これは皮肉ではない。「メサイア」を聴きながら寝るというのは、とても贅沢なことだ)

オケは、チェンバロも担当する指揮者の鈴木雅明を含めて20人。
合唱は18人で、独唱者が4人である。
座席数800人弱の大賀ホールとはちょうどバランスが取れた編成だろう。

残響が多い感じのホールではなく、教会のように響くというのとは正反対である。
むしろ各楽器の音がクリアに聴き取れる、そういう意味で響きのいいホールという印象を受けた。
開演5分前に、アカハラの囀りが鳴り響く。軽井沢らしい演出である。(アカハラは軽井沢町の鳥)

大賀ホールで感心しない点を2つほど
 トイレが少ない。休憩時間には混むので、駐車場にあるトイレを利用するのが賢明。
 ホワイエが狭い。敷地を考えると致し方のないところでもあるが、満席だと人が溢れてしまう。







「メサイア」は3部構成で、演奏時間は約2時間半。
第1部終了後に休憩がある。
休憩時間にテラスに出ると、日没の直前。夕陽を浴びたホールと浅間山の風景が美しかった。

バッハ・コレギウム・ジャパンは、今回も極めて素晴らしい「メサイア」を聴かせてくれた。
合唱陣もレベルが高い。
独唱ではやっぱりと言うべきか、森麻季の存在感が際立っていた。彼女が登場するだけで場の雰囲気が一変してしまう。もちろんその類稀な美貌だけではない。日本一とも言われる美声とテクニックには魅了された。

このレベルの「メサイア」が日本国内で、しかも風光明媚な軽井沢の地で聴けるというのは、何と幸福な体験だろう。
一年に一度はナマで聴きたいものだと思う。
来年も来ようか。別に軽井沢でなくてもいいいのだが。
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