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すみだ北斎美術館

すみだ北斎美術館(東京都墨田区)
2016年4月竣工
設計:妹島和世

江戸時代後期、現在の墨田区に生まれた浮世絵師、葛飾北斎の作品の保存・展示を目的とした美術館。
基本構想から27年を経て、緑町公園のテニスコート跡地に建設された。
2008年ごろにコンペが行われ、妹島和世が設計者に選ばれた。
設計期間は5年に及ぶ。かなりの紆余曲折があったことが想像できる。
自分はこのコンペの要綱を読んだ記憶がある。
かなり狭い敷地に多くの要素を盛り込むもので、まとめるには相当の力技が必要だった。

現地はJR両国駅から800mほど。
落語によく出てくる「本所七不思議」の舞台はこのあたりに多い。
「本所割下水」という、掘割式の排水路もこの付近にあった。
「亀沢町」という町名も、志ん生の噺にはよく登場する。
いわゆる下町の雰囲気やスケール感が色濃く残る地域である。




緑町公園側から見た全景


















スカイツリーが見えるのは、このあたりならではの風景


実際に行って見ると、思った通り非常に狭い。(敷地面積1254㎡)
外観は、さまざまに傾斜をつけたマッシブな箱をスリットによって分割したものである。
外壁は3mm厚のアルミパネルをアルマイト加工したあとに、電解研磨とエッチング処理を施したもので、一見するとステンレスにも見える。
目地はオープンジョイントで、目地底を深く取り、非常に平滑な面を表現している。

各面にスリットを入れ、どの方向からもアプローチを可能にしている。
全体的には閉じた箱だが、スリット面はガラス張りである。
内部に自然光を入れるようになっている。
1階はスリットによって4つの部分に分割されている。エントランス部分、図書室、講座室、それと一般者は入れない管理部門である。
外部には閉じているが、スリットから入る自然光は好ましい。
妹島和世らしい、宝石のように美しい建築である。
難しい条件をこのようなプログラムで実現して見せたのはさすがだと言わざるを得ない。

外観は満点だが、プランニング的には問題が多い。
まず、スリットを構成するガラス面が全て斜めになっていて、頭をぶつける恐れがあるために足元にコーンが並べられているのがいかにも見苦しい。
これは容易に予想できることなので、もう少し考えた方がよかったのにと思う。

展示室は3~4階にある。
1階でチケットを買うと、何とこの美術館には階段がなく、2基のエレベーターで展示室に向かうことになる。
3階と4階の間には階段が設置されているので、その間は自由に行き来できる。
エレベーターも小型のもので、混雑するとエレベーター待ちで長時間並ぶことになる。
自分が行った時はそれほどでもなかったが、人気の企画展などがあったら、対応し切れないのではないかと思う。
階段がないというのは建築基準法的にあり得ないので、実際には存在する。
一般客から見えないだけで、管理用及び避難時に使われる。



3階ロビー
右にエレベーター
スリットから自然光が入るので、意外に明るい



4階ロビー
「展望ラウンジ」とあるが、何故かエキスパンドメタルに遮られ、外が見えるという程度のものでしかない。



3階と4階をつなぐ階段。
手摺壁は6mmの鉄板を曲げて現場溶接したもので、内部空間としては見どころである。
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