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アントニオ・サリエリの音楽


アントニオ・サリエリ/ピアノ協奏曲変ロ長調、ハ長調
アルド・チッコリーニ(ピアノ)、クラウディオ・シモーネ指揮イ・ソリスティ・ベネティ
1983年録音

アントニオ・サリエリは、1750年、イタリアに生まれた作曲家。
ハイドンよりも18歳年下、モーツァルトよりも6歳年上。音楽史上の位置関係はそんなところだ。
オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に仕える宮廷楽長を長く務め、作曲家としては成功した人物である。
ヨーロッパ楽壇の頂点を極めた音楽家であると言ってもいい。
教育者としても知られ、ベートーヴェンやシューベルトも教えている。

だが何といってもサリエリを有名にしたのは、モーツァルトとの確執、そしてモーツァルトを毒殺したという疑いをかけられたことだろう。
それは1979年にピーター・シェーファーが戯曲「アマデウス」を発表し、1984年に映画化されたことで一躍有名になった。
それはもちろんフィクションで、事実とは異なる。
ただ、そういう噂はサリエリ存命中にもあったようで、本人もそのことで悩んでいたと言う。

サリエリは、同時代の作曲家たちからは抜きんでていたはずだが、そこに天才モーツァルトが出現し、サリエリの人生を狂わせてしまう。
凡百の作曲家たちはモーツァルトの真価を理解できず、その下品な振る舞いを軽蔑するが、不幸なことにサリエリにはモーツァルトの類まれな才能を理解するだけの才能はあった。
モーツァルトという下品な若造だけが神の寵愛を受け、自分は凡庸な才能しかないことを思い知らされる。
サリエリの苦悩は、のちに大きな悲劇を生んでいく。

「アマデウス」に登場するサリエリは、変装してモーツァルトにレクイエムの作曲を依頼し、毒殺を図る。
史実によれば、レクイエムの作曲を依頼したのは、フランツ・フォン・ヴァルゼック伯爵と言う貴族で、自分の妻のためにレクイエムを依頼したが、この人はもともと他人の作品を自作であると偽って発表するという傾向があったと言う。
レクイエムはモーツァルト最後の作品で、未完に終わり、弟子のジュスマイヤーによって補筆完成された。

・・・・・・

閑話休題
「アマデウス」というタイトルのこと

これはもちろん、モーツァルトのミドルネームだが、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトというのは、実は本名ではない。
本名はヴォルフガング・テオフィル・モーツァルトと言う。(実際の洗礼名はもっと長いらしい)

テオフィル Theophil Theoは「神」 philは「愛する」という意味である。
フィロソフィー(知を愛する)、フィルハーモニー(音楽を愛する)という言葉と同じ。

モーツァルトの父レオポルドは、イタリアに息子を売り込むに当って、テオフィルをイタリア風にアマデウスに変えた。
Amaは「愛する」、deusは「神」
どちらも「神に愛された者」という意味になる。
これには、イタリアを旅したモーツァルトが自らつけたという説もあって、真偽のほどは定かでない。

「なぜ神はあんな下品な若造を愛したのか」というサリエリの嘆きと人生の不条理を端的に表現したタイトルだと思う。

・・・・・・

現在、サリエリの作品を聴く機会はあまりない。
自分のコレクションで見つけたのはこの1枚のみである。
これだけでサリエリという作曲家を判断するのは危険だが、宮廷音楽の優雅さと美しさは十分に感じ取れる。
ただ、モーツァルトの作品と比べてしまうとその差は歴然だ。
こういう聴かれ方をしてしまうのはサリエリの不幸としか言いようがない。

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