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歌丸の「真景累ヶ淵」とゆかりの場所を巡る


桂歌丸と言えば、一般的には演芸番組「笑点」の司会者として有名だ。
「笑点」は立川談志が考案した番組で、もとは深夜番組だった。
1966年から続く長寿番組である。
談志は初代司会者で、毒蝮三太夫が座布団運びをやっていた。(自分が降板して以降の「笑点」について、談志は折に触れて酷評している)
歌丸は第1回から出演している唯一のメンバーである。

歌丸は「青空おばあさん」で有名な古今亭今輔門下だったが、色々あって破門同然の状態になり、兄弟子である桂米丸の門下になった。
彼はもともと新作派であり、新作に興味がない私は、歌丸に注目することはなかった。
近年、歌丸は埋もれた古典の名作や、三遊亭圓朝の怪談噺などの口演に力を入れ、「現代の圓朝語り」とまで言われるようになった。

「真景塁ヶ淵(しんけいかさねがふち)」は圓朝の代表作とされる長編で、下総羽生村(現在の茨城県常総市)で実際にあったとされる陰惨な物語を題材にした怪談ものである。
六代目三遊亭圓生、八代目林家正蔵(彦六の正蔵)などが得意とした。
ただこれは長い噺であり、通常は断片的に口演される。先代の圓楽や志ん朝も「豊志賀の死」あたりは単独でやっていた。

歌丸は以前、全5話として口演したが、改めて全7話として“語り直し”たのがこのシリーズで、2012年の録音である。
第1話「宗悦殺し」
第2話「深見新五郎」
第3話「豊志賀の死」
第4話「勘蔵の死」
第5話「お累の自害」
第6話「湯灌場と聖天山」
第7話「お熊の懺悔」
実は圓生も正蔵も「お熊の懺悔」は口演しておらず、これをやるのは圓朝以来ではないかと自身も言っている。
歌丸があえてこれを口演したのは、新吉とお賤の結末をつけたいという理由からだそうだ。
この部分は圓朝の速記本でもわずかしか残っていないようで、歌丸本人が創作した部分が多いのだと思われる。

「真景塁ヶ淵」は登場人物が多く、人間関係が複雑で、断片的に聞いても誰と誰がどういう関係にあるのか全くわからないことが多い。
今回、7話を通して聞くことが出来たので、ようやくその全体像を掴めるようになった。
全7話を通して聞くと5時間50かかる。
これだけの企画をよく実現させたものだ。歌丸に座布団を10枚差し上げたいと思う。


さて実話とされる「累伝説」だが、とりあえずWikipediaから

下総国岡田郡羽生村に、百姓・与右衛門(よえもん)と、その後妻・お杉の夫婦があった。
お杉の連れ子である娘・助(すけ)は生まれつき顔が醜く、足が不自由であったため、与右衛門は助を嫌っていた。
そして助が邪魔になった与右衛門は、助を川に投げ捨てて殺してしまう。
あくる年に与右衛門とお杉は女児をもうけ、累(るい)と名づけるが、累は助に生き写しであったことから助の祟りと村人は噂し、「助がかさねて生まれてきたのだ」と「るい」ではなく「かさね」と呼ばれた。
両親が相次いで亡くなり独りになった累は、病気で苦しんでいた流れ者の谷五郎(やごろう)を看病し、二代目与右衛門として婿に迎える。
しかし谷五郎は容姿の醜い累を疎ましく思うようになり、累を殺して別の女と一緒になる計画を立てる。
正保4年8月11日(1647年)、谷五郎は家路を急ぐ累の背後に忍び寄ると、川に突き落とし残忍な方法で殺害した。
その後、谷五郎は幾人もの後妻を娶ったが、尽く死んでしまう。6人目の後妻・きよとの間にようやく菊(きく)という名の娘が生まれた。
寛文12年1月(1672年)、菊に累の怨霊がとり憑き、菊の口を借りて谷五郎の非道を語り、供養を求めて菊の体を苦しめた。
近隣の飯沼にある弘経寺(ぐぎょうじ)遊獄庵に所化として滞在していた祐天上人はこのことを聞きつけ、累の解脱に成功するが、再び菊に何者かがとり憑いた。
祐天上人が問いただしたところ、助という子供の霊であった。
古老の話から累と助の経緯が明らかになり、祐天上人は助にも十念を授け戒名を与えて解脱させた。







下総国岡田郡羽生村は、現在は茨城県常総市。
累の墓は、鬼怒川堤防にほど近い法蔵寺にある。
羽生山という山号が、もとの地名を連想させる。
この場所は鬼怒川の堤防が見える場所にある。今年決壊で大きな被害を出した場所の反対側である。




真ん中が累の墓で、向かって右が助、左が菊の墓。

この話にある祐天上人が滞在していた弘経寺は、記事が長くなったので次回紹介したいと思う。
なお、上の話は祐天上人が自らの法力を誇示するために脚色した話であるとも伝えられる。
祐天ゆかりの寺が目黒区にある祐天寺で、東急東横線の祐天寺駅はその寺に由来する。

ちなみに、この累伝説に由来する「累草紙」という話は、彦六の正蔵が演じている。
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