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MCカートリッジ徹底研究(ステレオサウンド別冊)


MCカートリッジ徹底研究
ステレオサウンド別冊
1900円(税込)

最近のオーディオ界の話題は、ハイレゾとアナログ再生に2分されているようだ。
確かに書店の棚を見ても「ハイレゾ」と「アナログ再生」の文字がかなり踊っていて、それなりのブームにはなっているのだろうが、多分に作られたブームではないかと自分は見ている。
この「ハイレゾ」と「アナログ再生」がもてはやされる背景には「CDの音は悪い、物足りない」という前提があるようだ。それについては否定も肯定もしないが、CDに対するある種の不満が「ハイレゾ」と「アナログ再生」という、全く違う方向に向かうというところが面白い。
アナログ>ハイレゾ>CD
みたいなヒエラルキーが暗黙の了解の上に出来上がっているようだが、それにはある種の前提が必要だ。
ハイレゾはある程度の機種を揃えればそれなりにはなるが、アナログ再生を本格的にやるとなると、その手間とお金は半端ではない。
アナログは物量勝負みたいなところがあるし、レコードあるいはプレーヤーのメンテナンスひとつを取ってもCDの比ではない。
自分は今さらそこまでやる気はなく、手元にあるアナログレコードを少しずつデジタル化しようと考えている程度なのだが、それでも少しはグレードアップしたいと思うところはあるので、アナログ再生に関する書物にはある程度関心を持っている。

これは少し前に発売されたステレオサウンド誌別冊で、本書は大きく2つの部分に分けられる。
前半は、現行のMCカートリッジ25種の紹介である。
現在入手可能なMCカートリッジは、国産、外国産合わせて120種ほどあるらしいが、本書にはそのうちの1/5程度が収められていることになる。
その多くはとても我々に買えるような価格ではない。もっとも市場規模が違う昔と今では製造コストがまるで違うことは想像できる。
その中で、DENONのDL-103が今でも30000円前後で買えるというのは称賛に値する。
この懐かしいカートリッジについては改めて記事にしたいと思う。

後半は、故長島達夫氏が1978年に著した「図説・MCカートリッジの研究」をほぼ全ページ再録したものである。
「図説・MCカートリッジの研究」は、MCカートリッジのもつ特質を、できるだけ平易な文章と説明図をふんだんに用いて、その発電原理から掘り起して明らかにしたもので、当時の熱心な多くのオーディオファンに愛読されたと言う。
カートリッジの発電原理や、各種MCカートリッジの構造図が非常に緻密で美しい。
書店で実際に見て欲しくなったのもこのイラストが素晴らしかったからである。

・・・・・・

ところで、アナログ再生がブームになっているのならば、レコードプレーヤーが売れているはずで、そちらはどういう状況になっているのだろうか。
「価格.com」で「レコードプレーヤー」を検索し、価格がわかるもののうち同一商品の色違いなどを整理すると61機種あった。(12月8日現在)
最も安いのは5499円、高い方は447266円、平均約84900円。
平均を見るとそこそこだが、実は半分以上の31機種が3万円以下、1万円以下も8機種ある。
この世界では常識だが、アナログプレーヤーは安いものほどカートリッジ付きで、今どきのことだから、当然フォノイコライザーも内蔵になっている。
高い物は当然カートリッジレス、フォノイコライザーレスだから、実際にはもっと大きな価格差が存在する。
中にはアンプとスピーカーまで一体というようなユニークな製品まで存在する。オーディオの中でとりわけ振動を嫌うアナログプレーヤーにスピーカーを内蔵させるとは、何とも大胆な発想だ。

アナログブームとか言われてはいるが、実態はこんなところではないかと思う。
アナログレコードが面白いらしいと考えた若い人や、古いLPレコードがまだあるので聴いてみたいと思う人が、2万円程度でカートリッジもフォノイコもついた安価な製品でアナログレコードを聴いて見て、果たして満足できるだろうか。「やっぱりこんなものか」と思われてしまうのが落ちではないかと内心心配する。

最も高かったのはLUXMANのPD171Aで、これは納得だが、現実には数100万円のプレーヤーも存在するので、オーディオの2極化はこういうところにも現れている。
マニアというわけではない、私のような一般の音楽ファンが買いたいと思うような価格帯は、10万~20万程度だと思うのだが、この価格帯の製品は8機種しかなかった。
面白いことに、そのうち6機種がTHORENSなのである。
THORENSと言えば、昔は高嶺の花だったのだが、一番リーズナブルな値段で出しているのがTHORENSだとは、変な時代になったものだ。

YAMAHAやSONYもこの分野に新しい製品を出していないし、DENON、ONKYO、TEACも本腰ではない。
メーカーも、アナログが本当に地に足がついたブームではないと見ているような気がする。

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