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フルトヴェングラーの歴史的録音(その3)

ブラームス/交響曲第2番
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1945年1月28日録音


前回、戦後復活した最初の演奏会を取り上げたが、戦後最初があるのならば戦前(戦中)最後の演奏会があったはずである。
その録音があったのだ。その存在は迂闊にも比較的最近まで知らなかった。
これを聴いたとき、今までこれを知らずに生きてきたことにショックを受けた。


フルトヴェングラーは戦時中ドイツに留まって演奏活動を続けたが、1945年1月、ついに亡命を決意する。
その日フルトヴェングラーは、ウィーンでブラームスの交響曲第2番を振り、その夜ゲシュタポの目を欺いてスイス行きの列車に乗る。

露見すれば逮捕される。
命はないかも知れない。
いずれにしても、最後の演奏になるかも知れない。(結果的には2年4か月の空白の始まりだった)


そんな状況の中で演奏されたのがブラームスの交響曲第2番だったというところが面白い。
ブラームスは20年もの歳月をかけて交響曲第1番を完成させた。それは「ベートーヴェンの第10交響曲」とも呼ばれた。ベートーヴェンの正当な後継者という賛辞ではあるが、ベートーヴェンの亜流に過ぎないという皮肉も込められている。
難産の末に第1番を完成させたブラームスは、気持ちが落ち着いたのか、平穏な雰囲気に満ちた第2番を作曲する。俗に「ブラームスの田園」と呼ばれることもある。
第3番は「ブラームスの英雄」の異名を持つ。どこまで行ってもベートーヴェンの影響から逃れられないブラームスだったが、第4番に至ってようやく「ブラームスの交響曲」という評価を獲得する。
そのあたりはよく言われることだが、実際に「ブラームスの田園」「ブラームスの英雄」という言い方はあまりしない。単なる比喩と言って良い。

第2番は、4曲の交響曲の中では一番穏やかで明るい曲想の作品だが、存在は比較的地味で、4曲の中では一番不人気である。
個人的には結構好きな曲だので、その評価はやや残念なところではある。


それにしてもこれはすさまじい演奏だ。特に第4楽章のパワーとスピード感はフルトヴェングラーならではの圧倒的な迫力に満ちている。
1948年の録音ということもあり、音質的には貧しいのだが、それは些細なことだ。
襟を正さずには聴けない演奏。いつもそんな風に音楽と向き合うわけではない。それでは疲れてしまう。ただ、時にはそんな風に音楽と対峙する時があってもいいと思う。

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