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タイミルセグロカモメの立場

タイミルセグロカモメ
チドリ目カモメ科
体長55cm
撮影 2012.11.24 千葉県銚子市







背の色はかなり黒いが、足の色はそんなに黄色くはない個体




P9、10が旧羽で、P8が伸長中という個体。
ホイグリンは換羽が遅いというが、これはどうだろうか




セグロ3羽、ウミネコ3羽と



今年改訂になった日本産鳥類目録第7版については、すでに何度か話題にした。
今回は、ちょっと問題がありそうなカモメ類の項目について。


我々は一介の観察者であり、分類などに関しては公的な文献や図鑑によるしかないので、「分類がこう変わりました」と言われれば、そういうものかと思わざるを得ない。
今回の改訂では、目や科の移動も数多くあり、かなり大幅な変更になっている。
図鑑は概ね分類順になっているので、これを覚えかけた初心者の人にとっては、混乱の元だろうとは思う。
だから、新しいリストが出たからと言って、あわてて合わせる必要もないと思うし、逆に、頑なに以前の分類に固執する理由もない。新しい知見はみんなで共有していくのが賢い考え方だと思う。
自分で作っているリスト、仲間うちで鳥合わせに使っているリストについては、時期を見て段階的に変更して行こうかとは思っている。

個人的には、キジの仲間から始まってホオジロの仲間で終わる新しいリストはとても面白いと思ってはいるが、ことカモメ類に関しては、保守的というか、ちょっとどうなのかなという印象がある。

■まず、これまでの第6版に掲載されていたカモメ類(アジサシ類は除く)は以下の通り-アイウエオ順
 アカアシミツユビカモメ
 ウミネコ
 オオズグロカモメ
 オオセグロカモメ
 カモメ
 クビワカモメ
 ゴビズキンカモメ
 シロカモメ
 ズグロカモメ
 セグロカモメ
 ゾウゲカモメ
 ハシボソカモメ
 ヒメクビワカモメ
 ミツユビカモメ
 ユリカモメ
 ワシカモメ
以上16種

■今回、第7版で追加された種類
 アイスランドカモメ
 アメリカズグロカモメ
 カナダカモメ
 キアシセグロカモメ ※1
 チャガシラカモメ
 ニシセグロカモメ ※2
 ボナパルトカモメ
 ワライカモメ

 アイスランドカモメの亜種クムリーンアイスランドカモメ ※3
 カモメの亜種ニシシベリアカモメ ※4
 カモメの亜種コカモメ ※5
 セグロカモメの亜種アメリカセグロカモメ ※6
 ニシセグロカモメの名称不明亜種 ※7
以上8種+5亜種

■なぜか入っていない種類
 カリフォルニアカモメ(観察例が2度あるようだが、多くの人が見ていないから?)
 クロワカモメ(銚子で毎年観察されているのに)


※1 キアシセグロカモメ Larus cachinnans mongolicus
これは従来からある名称だが、Larus cachinnans の亜種扱いで、基亜種 Larus cachinnans は掲載されていない。
氏原図鑑では、
 カスピセグロカモメ Larus cachinnans
 モンゴルセグロカモメ Larus cachinnans mongolicus
で表記されている。
キアシセグロカモメの名称は、Larus michahellis(氏原図鑑ではカザフセグロカモメ)
と紛らわしい上に、殊更足が黄色いという特徴があるとは思えないので、これは従来から好ましくない名称と考えていた。


※2 ニシセグロカモメ Larus fuscus heuglini
一般にはホイグリンカモメの名称が浸透しているが、ニシセグロカモメの亜種扱い。
Larus fuscus はコラ半島からフィンランド、スウェーデンあたりで繁殖する種類で、さらに西側で繁殖する2亜種が知られている。(graellisii及びintermedius -海外の図鑑による)
ホングリンカモメの繁殖域は、Larus fuscus よりも東側、コラ半島からタイミル半島にかけての地域と言われている。
今回の改訂では、ホイグリンカモメは Larus fuscus よりも東側で繁殖する亜種という判断だと思われる。
亜種タイミルセグロカモメは、セグロカモメとホイグリンカモメの交雑個体群ではないかと言われて来たが、これについては改訂版でも亜種の扱いとはしていないようである。タイミルセグロカモメの立場はいかに。


※3 アイスランドカモメの亜種クムリーンアイスランドカモメ
フィールドでは便宜的にカムリアンアイスランドカモメと呼ばれて来た。
亜種名 kumlieni の読みは「クムリエーニ」だと思われるので、「クムリエン」が適切ではないかという意見は以前からあった。何か微妙なネーミング。


※4 カモメの亜種ニシシベリアカモメ Larus canus heinei
これまで和名がなかった亜種。
識別ポイントがはっきりしないので、ウェブ上でも、これと言う情報がなかなかない。
掲載されたということは、確かな観察例があるということなのだろうとは思うが。


※5 カモメの亜種コカモメ Larus canus brachyrhynchus
これは独立種であるという説と、亜種であるという説がある。Olsenでは独立種としている。


※6 セグロカモメの亜種アメリカセグロカモメ Larus argentatus smithsonianus
そもそもセグロカモメが Larus argentatus の亜種扱いというのもどうかと思う。(OlsenではLarus argentatus と Larus vegae は独立種)
アメリカセグロカモメは独立種とするのが趨勢だと聞いてはいたが。


※7 ニシセグロカモメの名称不明亜種 Larus fuscus ssp
Larus fuscus の2亜種に関しては、より西側で繁殖する亜種であることから、日本に飛来している可能性は非常に低いと思う。
とすればこの亜種はタイミルセグロカモメのことか、それともそれは見当違いか。


■当ブログでの扱いについて
ここで急に、ニシセグロカモメとかキアシセグロカモメの名称を使うことは混乱を招くと思うので、当面は従来からの名称を使うことにします。

以下の名称は従来通り使用します。
 ホイグリンカモメ
 亜種タイミルセグロカモメ
 モンゴルセグロカモメ

以下は亜種ではなく、独立種として扱います。
 アメリカセグロカモメ
 コカモメ

クムリーンアイスランドカモメは、まだ名称としてしっくりしないので、従来通りカムリアンアイスランドカモメと表記します。

これも絶対にということではなく、今後新たな知見が加われば柔軟に対応します。
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コメントの投稿

非公開コメント

No title

私はカモメに詳しくないのでよくわかっていないのですが、知り合いのカモメ専門の方が、今回の目録は20年は遅れている!と憤慨していました。
カモメ専門の人が委員の中にいないそうで、仕方がないのかもしれないとも。困りますね。

私はどこがどうおかしいのかがわかりませんでしたので、こうして整理していただけるのは嬉しいです。ありがとうございました。

No title

いやはや・・・頭の中 ごちゃごちゃ(爆)

ただでさえ難しい カモメ
改訂はなぜ行われる・・・(^^;
手持ちの図鑑の表記が 当てにならないとなると・・ 困りますねぇ。たしか papaさんが以前書かれていた記事の 日本野鳥の会の 改訂された表を 時間が有れば UPする前に 確認と言う作業をしていますが・・

新しい図鑑が出て欲しいですが・・ でも そう安々とは買えないしなぁ・。

以前 ブログに揚げた 猛禽さんだったと思うけれど そんな名称の科はありません!と かなり厳しく こられた方に コメントされたことがあるけれど でも 図鑑にはその表記だったし・・ って戸惑った事があります。 私のような初心者は 右往左往するばかりです。


☆彡

No title

カリフォルニアカモメやクロワカモメは文献として記載されていないので掲載にならなかったようです。伝聞では証拠になりませんから。

バーダーでもいいからちゃんと報告すればいいのですが。

カモメの分かるメンバーもいたはずです。

No title

えみこちょさん、ありがとうございます。
他の分野に比べて、カモメ類の項目が特に保守的のような気はします。
我々は専門的なことはわからないですが、専門家からの情報発信が少ないような気がします。

No title

紙風船さん、ありがとうございます。
もちろん、新しい知見に基づいて行われるものだとは思いますし、新しい知識はみんなで共有していくべきものだと思います。
分類順が変わるのは確かに大変なことですね。
シブリー=アールキスト分類なんかは、もっと過激でした。今回の改訂はそれに比べると穏やかな感じもします。

古い図鑑だと表記が異なっていることはありますね。単に間違いとは言えないと思います。海外の図鑑は日本の図鑑と違っている部分も数多くあります。

No title

きたきつねさん、コメントありがとうございます。
確かに伝聞だけならあと100種類以上はありそうです。
「文献」の範囲はよくわかりませんが、「論文」とかそういうことなのでしょうか。
クロワカモメについては自分も見ているので、ちょっと納得できないところもあったわけです。

No title

文献といっても難しいものではなく、鳥学会誌でなくても、根拠となる情報が記載されていれば、バーダーや野鳥の会支部報でもいいということです。

No title

きたきつねさん、再度のコメントありがとうございました。
こちらももう少し勉強して、また記事を書きたいと思います。
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