FC2ブログ

アイスランドカモメ(推定)@銚子



アイスランドカモメ
チドリ目カモメ科
体長56cm
撮影 2012.3.4 千葉県銚子市

アイスランドカモメには、基亜種glaucoidesと、亜種kumlieniの2亜種が存在するとされている。
名前から推察するに、アイスランドで繁殖するカモメかと思うとさにあらず、アイスランドは越冬地なのである。
glaucoidesの繁殖地は主にグリーンランドで、kumlieniはグリーンランドの西に位置するカナダのバフィン島が主な繁殖地である。
カナダの地図を見るとわかる通り、カナダの北極圏には大きな島がたくさんあるが、それらの島々の多くは、カナダカモメの繁殖地になっている。
つまり、カナダからグリーンランドにかけての北極圏では、東がアイスランドカモメ、西がカナダカモメの繁殖地で、その中間に分布するのがkumlieniということになる。

glaucoidesとカナダカモメの雑種がkumlieniであるという説があるが、上に挙げた分布を考えると、そういう説も一応納得できる。

そもそもカナダカモメはアイスランドカモメの亜種であるという説もある。
それが正しければ、カナダだ、アイスランドだと言っていても、結局同じ種類だということになる。

3つとも別種であるという説もあるようだが、現在の日本の図鑑では、アイスランドカモメには基亜種glaucoidesと、亜種kumlieniがあり、カナダカモメは別種という考え方が普通である。
kumlieniは、一般的に「カムリアンアイスランドカモメ」と呼ばれるが、長いのでフィールドでは「カムリアン」で通っている。

名称のまとめ
 アイスランドカモメ Iceland Gull Larus glaucoides glaucoides
 カムリアンアイスランドカモメ Kumlien Iceland Gull Larus glaucoides kumlieni
 カナダカモメ Thayer's Gull Larus thayeri


アイスランドカモメ成鳥の識別ポイントを大雑把にまとめると
■セグロカモメよりもやや小型
■頭が丸い
■嘴が小さい
■足が短い
■全体的に白い
■初列風切が長く、尾羽からの突出が大きい

glaucoidesは、初列風切に灰色味がほとんどないが、kumlieniは、初列風切に灰色味がある。
初列風切の色が、kumlieniとカナダカモメの中間的な色合いのものは、両種の雑種の可能性がある。


物事を複雑にしている要因にはシロカモメの存在がある。
シロカモメは日本で見られるカモメ類の中では最も大型と言われているが、barrovianusという、小型の亜種が存在する。(アラスカシロカモメ、あるいはバロヴィアヌスの名前が使われる)
アイスランドカモメは初列風切の突出が大きいというところが識別の頼りかと思うが、なかなか事は簡単ではない。

・・・・・・

前置きが長くなったが、さらに複雑にしているのが、「初列風切の突出が比較的小さく、色も灰色味がほとんどないが、体型的にkumilieniの特徴を備えている個体」の存在である。
大型のカムリアンという意味で、「デカムリアン」又は「デカムリン」の愛称が使われる。あくまでもこのひとつの個体に使われる固有の名称である。

アイスランドカモメであるかどうかはまだ議論のあるところのようで、「アイスランドカモメの可能性がある個体」という微妙な言い回しが使われてきた。
発見されたのは2000年~2001年のシーズンで、その時の写真によれば、嘴に黒斑があるため、第3回冬羽と考えられているようだ。
ということは1998年生まれ、つまり今シーズンで14年目(13歳)ということになる。

私自身の経験で言えば、過去にはシロカモメだと思って撮影していた。
今まで確かにアイスランドカモメだと言える個体は2個体しか見ていないし、このデカムリンを入れても3個体である。
その他、カナダカモメとの雑種の可能性があるものを3個体ほど観察した。
いずれにしても、珍鳥に属する鳥であることは間違いない。


ところで、日本に来るアイスランドカモメというのは、グリーンランドやカナダのバフィン島などからはるばる来るのだろうか。

日本とグリーンランドの位置関係というのは、通常のメルカトル図法の世界地図を見ていても実感がわかない。
実はグリーンランドは日本の真北にある。
日本から真北に行くと北極点に至る。(それは当たり前)
そこから南下していくと、グリーンランドに至るのである。日本から約9000km。
ある意味、地球の反対側。
渡りのルートには謎も多いが、北極を超えて渡るというのはちょっと考えにくい気がする。
アラスカあたりで繁殖している個体群があるのだろうか。
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

No title

北極圏あたりからアイスランドにかけて生息するカモメが、どうやっ
て遠い日本にまでやってくるのでしょうね。
やはり、こういうカモメの場合も迷鳥になるのでしょうか?
他のカモメの群に付いてきてしまったりということなのでしょうか?
とにかく、そういうことを考えると楽しいです。
ぽちっ!

No title

アイスランドカモメ、papagenoさんのブログで拝見するのは二回目でしょうか。いつもの詳しい解説・分析、興味ぶかく読ませてもらいました。☆☆
日本まで来るとは北は相当寒いのでしょうか?

No title

野鳥太郎さん、ありがとうございます。
毎年来ている個体なので、このカモメなりのルートがあるのでしょうね。
夏はどこにいるのか、興味はつきませんね。

No title

てつさん、ありがとうございます。
成鳥の典型的な個体を見たことがありません。
これは、というものを今年はぜひ見たかったのですが、今のところかないません。
年によって飛来数には違いがあります。
今年はいいかなと思ったのですが、なかなかハードルが高い鳥です。
プロフィール

papageno620

Author:papageno620
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
フリーエリア