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震災11日目

福島第1の3号機は、ちょっと特殊な事情を抱えている。
それはこの炉が、国のプルサーマル計画の一環としてMOX燃料を使用しているからである。
MOXの話は、政府も東電も保安院も極力避けているようだが、黙っていれば無用な憶測を生むばかりである。
この期に及んで「今後のプルサーマル計画に支障を来たす」などと考えているようなら、まだ認識が甘いと言わざるを得ないのでは?
メディアももう少し勉強して、不安を煽るのではなく、正しい情報を。

・・・・・・

MOXの話はどこから始めたらいいのだろうか。
やっぱりマンハッタン計画まで遡らないといけないか?

第2次世界大戦時、アメリカはマンハッタン計画において、1つのウラン原爆と2つのプルトニウム原爆を製造した。
製造コストは約20億ドルである。(今の20億ドルではない。当時の貨幣価値で20億ドル)
「リトルボーイ」と名付けられたウラン原爆は広島に投下された。
2つのプルトニウム原爆のうちひとつ「ガジェット」はアラモゴルドで炸裂し、実験は成功した。
もうひとつ、「ファットマン」は長崎に投下された。
莫大な費用を投じて製造された3発は、結果的に全て使用された。


天然に存在するウランの大半はウラン238という同位体で、安定しており、核分裂は起こさない。
核分裂を起こすのは、わずかに存在するウラン235である。
原発ではこれを濃縮して使っているが、原爆では急激な連鎖反応を起こさせるために、高純度に濃縮する必要がある。
原爆に使えるほどに濃縮するには、極めて高度な技術と大量の電力を必要とする。
原爆として使用するには、ウランは効率が悪いらしく、リトルボーイ以後ウラン型原爆は作られていない。

プルトニウムという元素は自然界には存在せず、ウランを用いた原子炉からの副産物として生成される。
プルトニウムは原発の使用済核燃料から精製できるので、高濃縮ウランよりも比較的簡単に手に入る。

ウラン型原爆は、濃縮技術そのものは難しいが、連鎖反応を起こさせる手順は難しくない。簡単に言うと、臨界を起こすよりも少量の2つのブロックに分けておいて、合体させればいいのである。
そのため、広島型原爆は実験なしで投下出来たのである。それ自体が実験を兼ねていたという言い方も出来る。広島は実験台にされたのだ。
プルトニウム型原爆は、連鎖反応を起こすために爆縮という技術が必要になる。
中心近くに、球状に臨界以下のプルトニウムを配置し、その外側に爆薬を設置し、その爆薬に点火して中心部のプルトニウムを一気に合体させるのである。
このとき、爆薬の燃焼がプルトニウム全体に、同時に行き渡らせるために、爆縮レンズという方法を使う。
燃焼速度の速い爆薬の燃焼を調節するために、燃焼速度の遅い爆薬を内側に配置するのである。
問題は、それらを球状に配置するに当たって、全体をいくつに分割すればいいかということだった。
コンピューターがない時代、科学者たちが手計算で行った結論は32分割だった。
正20面体の、12の頂点をカットした32面体。20の正六角形と12の正五角形からなる32面体である。
”トランケイテッド・アイコサヘドロン” 昔のサッカーボールと同じである。
これは最高度の国家機密だったが、現在では普通に知られている。でなければここに書けるはずがない。

以降、プルトニウム型原爆は世界に拡散した。
現在でも核保有国の全てはプルトニウム型を保有しており、ウラン型原爆は事実上存在しない。

プルトニウムさえあれば、比較的簡単に原爆を製造できる。
日本も核武装すべきであるという意見を言う人も少なからずいて、私はその意見には全く同調しないけれども、日本の技術力をもってすれば可能だろう。
ほとんどの日本人はそういうことは否定するが、外国から見れば十分警戒に値する。
何しろ、日本は大量のプルトニウムを保有しているのである。

日本のプルトニウム政策の柱は高速増殖炉だった。
高速増殖炉にはプルトニウムとウランを混ぜた燃料をを使う。
それがMOX燃料である。

高速増殖炉は、燃やした以上の燃料を生成することが出来る。
車で言うと、ガソリンを燃やして走行すると、使った以上のガソリンが溜まるみたいなことだから、これはまさに夢の技術である。
どうしてそんなことが可能なのか。
先に書いたように、天然に存在するウランの大半は核分裂しないウラン238である。
高速増殖炉は、原子炉の周囲をブランケットと呼ばれるもので囲う。これがウラン238で作られている。
燃料のプルトニウムが核分裂して熱を発生すると同時に、発生した中性子をウラン238が取り込んでプルトニウム239になるのである。
言わば、使い道のないウラン238が、使えるプルトニウム239に変わるのである。
まさに夢の技術と言って良い。
これが「増殖」の意味である。
では「高速」とはどういう意味だろうか。

原爆というのは、核分裂の連鎖反応を急激に行う必要がある。それが”爆発”の定義だから。
原発は、この連鎖反応を緩やかに行うことで熱を取り出すものである。
連鎖反応は、核分裂に伴って放出される中性子によって行われる。
原発では、中性子の速度を落す必要があり、その減速材として水が使われているのである。(水は冷却材を兼ねている)
詳しいことは専門家でないのでわからないが、高速増殖炉においては、中性子線の速度を上げなけらばならないのである。それが「高速」の意味。
減速材として水は使えないので、金属ナトリウムを使う。
ナトリウムの厄介なところは、水に触れると爆発的に燃えるということである。
何しろ、水の中にパイプを通して、その中を高温の金属ナトリウムを通さなければならない。少しでも漏れたら爆発である。これが高速増殖炉が根本的に抱える問題だった。
フランスの”フェニックス”も、日本の”もんじゅ”もその問題をクリアできず、夢の計画はほぼ頓挫した。

それなら、この余ったプルトニウムをどうしたらいいか。
窮余の策で、プルサーマル計画が持ち上がった。
わかりやすく言うと、持て余しているプルトニウムをウランと混ぜて燃やしてしまおうという計画である。
福島第1の3号機でそれが行われている。始まったのは去年の10月だった。

プルトニウムの混合割合は6%程度ということなので、考えすぎなのかも知れないが、MOX燃料の方が明らかに危険度は大きいと言われている。

繰り返しになるが、とにかく正確な情報を隠さずに伝えて欲しいと思う。
疑心暗鬼を呼んでいるのが今の状況。

福島第1は、予断を許さない状況が続いているが、関係者の懸命の努力で、いい方向に向かっていると思う。そう信じたい。
私の方は200kmほど離れていて、放射線に関しては全く心配していない。
東京あたりの人が過剰に心配するのはいかがなものかと思う。
すでに風評被害が始まっている。
福島や茨城県産の野菜などはもう売れないだろう。
これに関しても国が明確なメッセージを出して欲しいと思う。

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