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フォーラムビルディング

気になっていた「フォーラムビルディング」を見てきた。
外苑前に建つ、12階建てのオフィスビル。
設計は谷口吉生である。

・・・・・・

谷口吉生が、世界でも最高レベルの建築家であることは間違いない。
ただし、彼は他の有名建築家たちとは一線を画している。
ほとんどメディアに登場しない。
コンペにも参加しない。
仕方なく参加した「ニューヨーク近代美術館」のコンペで勝ち、これが海外での唯一の作品になっている。
建築について語るのも、自作が発表された誌面でのインタビューが目立つ程度だろうか。
とにかく、谷口吉生について知るには、その作品を見ることである。
見ればわかるのだから、谷口は語らないのである。

・・・・・・

谷口の作品は、多くが美術館や図書館などの公共建築で、オフィスビルとしては日本アイビーエム幕張ビルが目立つ程度である。
オフィスビルの設計というのは、高度に専門性が高いので、組織事務所の牙城である。
仮に私がクライアントの立場だったら、日建設計か竹中工務店に依頼するだろう。
それがこの「フォーラムエンジニアリング」という企業は、谷口吉生に設計を依頼したのである。
谷口自身、自分に依頼したことの意味はよくわかっていたのだろう。
その結果がこれだった。
衝撃的建築というのはそんなにあるものではない。



青山通り、青山2丁目方面から見る。
特徴ある青山タワービルの隣に、控えめに存在感を持って建つ。
ちなみに、青山タワービルは1969年竣工、吉村順三の作品。
2本の柱で支える大胆なピロティが有名。非常にいいお隣さんと言える。




12階建て。
1階はピロティで、エレベーターホールのみ。階高は6m程度。
2階~12階の階高は3.6m。
柱のスパンも3.6mで、厳密に正方形のプロポーションになっている。







柱、梁とも見付はわずかに410mm。
これほどスレンダーなフォルムがなぜ可能になっているのか、詳細図を見ると明らかになっている。

柱は鋼管273.1Φ×48(!)
梁はビルトHで、H-275×275×12×55(!!)
極めて細く見えるが、実は鉄の塊みたいなもので、耐火被覆と外装パネルの下地を考えると、物凄い収まりになっている。

柱、梁は5mm厚のステンレスなのだが、目地幅は5mmしかない。そんな精度が可能なのは日本でしかあり得ないのではないだろうか。
ちなみに施工は竹中工務店である。

サッシは室内側にセットバックしているので、非常に彫りの深い表情を見せているのだが、こういう場合、梁の上端の雨水を垂れ流しにすると、雨だれが梁を汚して見苦しくなるのは目に見えている。
そこで梁の上端はアルミのパンチングとして、内側に樋を設け、柱の角に33Φの竪樋を通すという、アクロバット的なことをやっている。
柱が鋼管なので角に隙間が生じたから出来たことだ。ひょっとしたらそのために鋼管にした? まさか。

ガラスは8mm+6mm(Low-E)+8mmの3重ガラス。

オフィスビルとしては階高3600は控えめだが、梁成が小さいので天井高2800を確保している。




ピロティの向こうに青山タワービルのピロティが見える。
40年ほどの隔たりがあるが、建築にはまだ可能性があるのだとしみじみ感じた。




柱、梁のディテール。

とにかくため息しか出ない。
圧倒され、打ちのめされ、外苑前をあとにした。
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