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鳥を馬鹿にするな!

あまりこのことに深入りしたくはないのだが、およそ根拠の薄弱なことを、さも事実であるかのように強弁する行政当局と、お役所の発表を検証もしないで提灯記事を書く新聞、ただ面白おかしく取り上げるだけで何も考えていないTVによって、「太りすぎで飛べないカモが急増」というデマが蔓延していることに我慢がならないので、しつこいと言われるのを覚悟で取り上げる。
一連の報道が、カモやユリカモメに対して失礼であるとしか思えないのである。
一言申し上げておく。
「鳥はそんなに馬鹿ではない」

まず、東京新聞12月5日
<肥満 飛べないカモ 野良ネコの餌食 渡りにも影響>
と題する記事。
東京都内で越冬するカモに「肥満」が増えている。太りすぎて動きが鈍くなり、ネコに簡単に襲われたり、飛べなくなって故郷に帰れなくなったりする深刻な例が続出しているという。原因は、人によるエサのやりすぎ。都環境局は、カモなど野鳥へのエサやりの自粛を大々的に呼び掛けることを決めた。

冬の渡り鳥の名所として知られる不忍池(台東区上野公園)ではここ数年、一、二月になると、丸々と太った鳥が目立ち、空腹の野良ネコにとっては文字通り、いい“かも”に。ネコに襲われた無残な死骸(しがい)が連日、見つかるという。

カモはもともと、低カロリーの水草などを主食にしている。年末くらいまでは軽快に飛び回っているが、人からパンや菓子といった栄養価の高いエサを与えられるうちに太り始め、動きも緩慢に。同局が撮影した今年初めのカモの写真では、胸や腹にたっぷりとぜい肉がついていた。

肥満は、故郷への渡りにも影響が出ているとみられている。具体的な調査はまだだが、同局の担当者は「太ったカモは動きが鈍く、簡単に素手で捕まえられる。こんな体で飛び立っても、故郷にたどりつけないのではないか」と心配している。

同局が今月三日、不忍池周辺で観察したところ、約千七百羽の野鳥を確認。このうち留鳥のオナガやカルガモを除く約五百羽が、冬季にシベリアなど北方から渡ってくるカモ類だった。冬の渡り鳥のユリカモメも、約六百羽がいた。

ユリカモメは本来、河口近くをすみかにする。不忍池では以前、ほとんど見られなかったが「エサ場を求め移動してきた」(同局)らしい。ユリカモメの場合、エサをもらうのを待つだけでなく、旋回して人から食べ物を奪おうとするために「子どもがけがをした」との苦情も絶えない。

都は今月八日から来年三月いっぱいにかけ、不忍池周辺でエサやりの危険を知らせるチラシを配るほか、練馬区の石神井公園や葛飾区の水元公園でも園内放送で訴える。担当者は「かわいいと思う気持ちから、エサやりを日課にしている人もいるが、逆にそれが、鳥を苦しめていることに気がついてほしい」と話している。
この記事は、東京都が言う主張をそのまま踏襲したものである。
”肥満が原因で飛べなくなり、渡れないカモがいる”
餌やりが原因で太りすぎたカモなんて見たことがない。
環境局配布のチラシにあるオナガガモの写真には「ほとんど飛べません」とあるが、どう見ても普通の個体である。
「太って見える」と言われればその通りだが、地上で立っているカモというのはこんなものだ。
このカモが本当に飛べないのかどうか、東京都環境局は検証したのか?
本当に飛べないのだとしたら、普通は怪我を疑ってみるべきで、餌やりのせいだとどうして判断できたのか。

”餌やりが原因でカモが太りすぎ、猫に簡単に襲われてしまう”
猫が野鳥を襲うことはよくあることである。
可哀想だが、それが自然界というものであり、動きの遅い鳥は淘汰されてしまうことがそれほど問題だとは思えない。
それより、カモに餌をやる人と猫を捨てる人はどちらが悪質なのか、環境局の人に聞いてみたい。

>留鳥のオナガやカルガモ、という記述を読むと、この記者がカモ科のオナガガモ(もちろん渡り鳥)とカラス科のオナガを混同していることがわかる。オナガは本題に全く関係がなく、オナガガモは本題の主役と思われるから、この記述は意味不明である。

”ユリカモメは河口近くに住み、不忍池では見られなかった”
以前の不忍池のことはよく知らないが、ユリカモメはカモメの仲間で最も内陸までやってくる鳥である。
不忍池は海(竹芝桟橋)から6kmしか離れておらず、とても内陸とは言えない。
鹿島灘から100km、東京湾から70km離れた群馬県の多々良沼にもユリカモメが多数飛来していることをご存知ないらしい。
大体、ユリカモメは万葉の時代から「都鳥」と呼ばれて親しまれてきた鳥で、東京都の鳥のはずである。
少なくとも東京新聞なのだから、恥ずかしい認識だと思った方が良い。

”ユリカモメが子供を襲うという苦情が絶えない”
これが本当ならば聞き捨てならない。
ユリカモメは人を恐れず、意外に気が強いので、ユリカモメに周りを囲まれて「怖い」という人はよくいる。
しかし、ユリカモメのせいでケガをする子供が続出しているというような話は聞いたことがない。
ヒッチコックの映画はフィクションである。勘違いしてはいけない。

続いては産経新聞12月9日付
<肥満のカモ、北へ帰れないカモ? 都が対策>
と題する記事
近年、カモの肥満が問題化している。日本で越冬中に丸々と太り、飛ぶ能力やエサを捕る能力が落ちて、繁殖地のシベリアにたどり着けずに死ぬ恐れがあるのだ。動きが鈍く警戒心も薄れて、ネコに食べられるカモも多く見られるようになったといい、東京都は8日、野鳥へのエサやり防止キャンペーンを始めた。
(菊地剛)

「エサをやる姿は一見ほほえましいですが、実は生態系を壊しています」。都の担当者はこう訴える。

東京・上野の不忍池には毎年11月ころ、多くの渡り鳥が越冬のために飛来。今年もオナガガモやキンクロハジロなど、約1100羽を確認した。ところが、いとおしむあまり、人がエサを与えてしまうことが問題になっている。

「パンなどを食べて太り過ぎると、春に北へ帰れなくなるんです」と担当者。カモにも脱メタボが必要とこの日、都の職員12人が不忍池周辺でエサをやっている人に声をかけたり、チラシを配るなどして「野鳥にエサをやらず、自然のまま見守って」と訴えた。

エサの食べ過ぎがもとで、交雑の問題も起きている。北へ渡るのが遅れ、繁殖時期を日本で迎えてしまったために、土着のカルガモと混ざった渡り鳥も観察されるようになったのだ。

本来は生息しないはずの鳥も集まっている。訪れていた40代の女性は「ここ数年でユリカモメが増えた。エサを奪おうと、カモを襲っていることも多いです」と心配そうに話す。

都では来年3月末まで呼びかけを続けるが、「エサやりを楽しみにしている人も多い」とのことで、職員が遠ざかると再びエサをやり始める人もみられた。エサをもらっても、カモは本当のところ困っているのかもしれない。
この記事も、前述の記事と大差はないが
”カルガモとの交雑の問題”
が出て来た。
まず整理しておきたいのが、餌付けを受けやすい鳥とそうでない鳥がいることだ。
餌付けされやすい鳥は
オナガガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、ハクチョウ類、オオバン、ユリカモメ
中でもオナガガモが最も餌付けされやく、マガモ、カルガモ、コガモはほとんど餌付けされない。
餌付けの影響としての交雑を問題とするのならば、まずカルガモとオナガガモの交雑個体が珍しくないことを示さねばならない。
カモ類は比較的交雑がおきやすい種類であるが、カルガモとオナガガモの交雑個体は見たことがない。
私だけでなく、図鑑を執筆しているようなプロでさえ見たことがないと言う。
マガモとカルガモの交雑個体は通称マルガモという名で知られていて、これはさほど珍しいものではなく、私も紹介したことがある。
ただ、野生のマガモが親であるかどうかは定かではなく、アオクビアヒルの可能性も高い。
いずれにしても野鳥の餌付けとは直接関係がない話であって、ここで取り上げるのは筋違いである。

また、本来生息しないはずの鳥としてユリカモメが挙げられているが、先に書いたとおりこれはいて当然の鳥である。
カモと餌の取り合いぐらいするだろうし、それのどこが問題なのだろうか。

最後にスポーツニッポン 12月8日付
上野公園の「メタボ」ガモを救おう!
と題する記事
東京都台東区の観光名所である上野公園の不忍池に飛来するカモが、エサの食べ過ぎで“メタボリック化”し、生態系が崩れる原因になる可能性が危ぐされている。公園を管轄する都環境局は、8日から、来園客による野鳥へのエサやりを防止するキャンペーンを開始する。

不忍池にはオナガガモやキンクロハジロなど渡り鳥のカモが11月ごろから飛来。ここで越冬し、通常は2月下旬から3月にロシアなど北へと飛び立つ。しかし、都環境局によると、4月になっても居座るカモが近年見られるようになったという。

同局自然環境部の岩崎浩美係長によると、原因の1つが肥満。日常的にエサが過度に与えられていることに加え、来園客が増える年末年始は、さらに体重が増加。このため、カモが長時間飛べなくなったり、動きが鈍りネコなどの天敵に襲われ命を落としたりするケースも頻発している。

同局は来園客がカモなど野鳥にエサを与えることに対して、初めて防止を呼び掛けることを決めた。8日から16日までに集中キャンペーンを展開。同局職員や同園の鳥獣保護員が「エサやり防止」を喚起するチラシを来園客に配布し、園内放送でも呼び掛ける。法的に取り締まることは現在考えていないが、岩崎係長は「条例などをつくって取り締まることになる前に、来園客によく説明して理解してもらいたい」と話している。

渡り鳥のカモは日本の暑い夏には耐えられないため、夏まで居座ることになれば死に至ることもある。また、飛び立ったとしても重い体を支えられず、目的地にたどり着くまでに死んでしまう危険性を専門家は指摘。さらに、1年を通して不忍池で暮らすカルガモの繁殖に悪影響を与え、予期せぬ交配が起こりうる可能性もあるという。

動物愛護の観点から、これまで都は野鳥へのエサやりを防止するような活動は行ってこなかった。しかし、野鳥の死を招くことになれば本末転倒。岩崎係長は「(カモが)かわいいという気持ちはよく分かる。反発もあると思うが、とことんやっていきたい」とキャンペーンへ強い意志を示している。
この記事で面白いのは
>来園客が増える年末年始は、さらに体重が増加
という記述だ。
この公園では定期的にカモの体重を測定しているらしい。

>4月になっても居座るカモが近年見られるようになった。
4月にいるカモは珍しくも何ともない。
4月にカモを見たから「カモが渡りをやめた」という結論を出したのだろうか。
なお5月あたり、割と遅くまでいるのは、餌付けを受けないコガモが多いというのが私の認識だ。

>渡り鳥のカモは日本の暑い夏には耐えられないため、夏まで居座ることになれば死に至ることもある。
この一連の記事が真実なら、日本中で相当数のオナガガモが肥満のために渡れず、夏を越せずに死んでしまうという現象が観察されているはずである。
証拠もなしにこういうことを言う「専門家」とはどういう人なのか。

この記事でもカルガモとの予期せぬ交雑ということが言われているが、ぜひカルガモとオナガガモの交雑個体の写真を見せてほしい。

私は餌付けに関して積極的に支持するわけではく、全く問題がないとは思っていない。
餌付けをどうしてもやめさせたいのならば、その科学的根拠を示すべきだと極く常識的なことを言っているつもりだ。
東京都は何かほかの意図があるのではないか。
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