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「エサやり防止キャンペーン」批判

東京都による「エサやり防止キャンペーン」についてこれまで批判を加えて来たが、何度も言うように私は野鳥に対するエサやりを無条件に容認するわけではない。
ただ、荒唐無稽としか思えないことを、あたかも事実であるかのように捏造し、強権的に押さえ込もうとする行政当局の態度と、無批判かつ興味本位に伝えるだけのマスコミに怒りを覚えるのである。

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今回のキャンペーンを支えている”事実”は、「エサやりが原因でカモが太りすぎて、飛べないカモが多くなり、渡りに支障が出て来た。」というものであるが、これはほぼ100%事実無根で、荒唐無稽と言ってよい。
冷静に考えると笑い話のようであり、思うに鳥のことを知らない誰かが思いついた話か、アヒルを太ったカモと勘違いしたのか、はたまた悪質なデッチ上げか、どれかだろうと思う。
これがマスコミに乗ると”事実”になってしまう過程は、デマが広がる仕組みとして非常に興味深い。

このことを伝える新聞記事の内容が間違いだらけであることは以前の記事で指摘した。
以前の記事

私はテレビをあまり見ないので、これがどういう伝え方がされているのかはよく知らないが、伝聞によれば思ったとおりの報道であるらしい。
ネットで検索して見ると、テレビでの報道内容として「通常の1.5倍も体重が増えたカモ」と、具体的な数字が出て来た。
これは最初はなかった数字であり、これもデマが広がるときにはよくある現象で、デマに関する一種の研究対象になるかも知れない。

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今回のキャンペーンの特徴は「カモがかわいそうだ」という視点で語られていることである。
同じ「エサやり防止キャンペーン」でも、ドバトに対する同様のキャンペーンは、ドバトを減らそうというのが目的だったので、本質的に意味が違う。
行政が純粋にカモのことを心配してくれるなんていうことは信じられない。
このキャンペーンを胡散臭く感じる理由のひとつである。
カモに対するエサやり攻撃の副産物として、ユリカモメに対する誹謗中傷が非常に多いのは見過ごせない。
ユリカモメに子供が襲われた、という苦情が絶えないなどという話がどこから出て来たのか、本当に理解に苦しむ。

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カモの渡りが遅れている、ということの根拠に、4月になっても居座るカモが多い、というようなことが言われているらしいが、とんでもないことである。
4月に見られるカモなんて珍しくも何ともない。
以下は私の観察結果から抜粋したものである。

2004年
4/29 谷津干潟 オナガガモ ハシビロガモ ヒドリガモ
5/7 MF(土浦市内)コガモ 
5/8 谷津干潟 コガモ オナガガモ
5/12 宍塚大池 コガモ
5/21 宍塚大池 コガモ

2005年
4/24 浅川大池(長野県) マガモ コガモ キンクロハジロ
4/28 MF(土浦市内)コガモ 
4/30 谷津干潟 コガモ オナガガモ
5/7 裏磐梯高原 マガモ コガモ ヒドリガモ

2006年
4/28 宍塚大池 コガモ ハシビロガモ
4/29 谷津干潟 コガモ アメリカコガモ ヒドリガモ ハシビロガモ
5/12 MF(土浦市内)コガモ

2007年
4/27 宍塚大池 マガモ コガモ
4/28 三番瀬~谷津干潟 コガモ ヒドリガモ オナガガモ ハシビロガモ スズガモ

上に挙げた場所はいずれも餌付けがされていない場所である。
比較的遅くまでいるカモは、餌付けされないコガモが多いということは以前も書いた。
普通のバードウォッチャーならばこの程度の記録はすぐ出せるだろう。
東京都環境局には、残念ながら鳥を日常的に観察している人はいないようだ。
「渡りが遅くなっている」という主張が4月を基準に語られている限り、その論理は破綻しているといわざるを得ない。

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予期せぬ雑種が多く生まれているという主張も根拠がない。
カモというのは雑種が生じやすい種類であるが、東京都が言うように餌付けの影響で生じる雑種というのならば、
 カルガモとオナガガモ
 カルガモとヒドリガモ
などの雑種が多く観察できるのでなければ説得力がないが、このような個体は私の知る限り存在しない。
手元の図鑑にあるのは
 マガモとカルガモ
 マガモとオナガガモ
 トモエガモとオナガガモ
などの雑種である。
マガモとカルガモの雑種は俗にマルガモと呼ばれ、比較的多く見られるが、マガモではなくアヒルあるいはアイガモである可能性も高い。それならば国内で繁殖した可能性もある。
その他の組み合わせにしても、カモ類の繁殖地はほとんどが海外であり、餌付けが原因で国内(特に不忍池)で雑種が繁殖したと見られる証拠は何一つない。
この「雑種」に関する東京都の主張はほとんど意味不明である。
思うに東京都環境局の担当者はカモのことを全く知らず、アイガモの類いを野生のカモの雑種と勘違いしているのではないか。

以上、エサやり防止キャンペーンの欺瞞性について書いてきたが、集中キャンペーンとしては終了した模様である。
春になればいつものようにカモたちは渡っていくだろうし、夏まで居残るオナガガモはほとんどいないだろう。
東京都の主張が嘘であることは明らかになるが、その時には世間の関心はあるまい。
第一、東京都は「キャンペーンが功を奏して、カモたちが渡れないという状況は回避された」と言えるわけだから、私たちに勝ち目はないわけだ。
今後どのように推移するかは不透明だが、今年を代表する漢字のように<偽>に対しては<偽>と主張する姿勢は変えないつもりである。

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このキャンペーンに対する正当な批判は以下のブログにありますので、ぜひ読んでみてください。
氏原巨雄さんのブログ
氏原道昭さんのブログ
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