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年末の不忍池にて

2007.12.29
不忍池(東京都台東区)

年末の休みに入った初日、「エサやり防止キャンペーン」が行われている現場に行ってみた。
年末ということもあるのか、特に見廻りの職員のような姿は見られなかった。
エサを蒔く人の姿はちらほら見られたが、それほど大々的に蒔いている人はいなかった。
その代わり、ユリカモメにエサをやっていた女性に向かって、傘を振り回しながら食ってかかるおじさんがいた。
その人は柵にかかっている張り紙を指して怒鳴っていた。
そのあと、おじさんは傘を振り回してユリカモメを追っ払っていた。
やれやれ。。。
何か、とてもギスギスした雰囲気で、居心地の悪い公園になってしまった。
東京都はここをどんな公園にしたいのか。



いくら何でもひどいだろうと思うのがこの張り紙である。
「エサやり防止」だったはずが、はっきりと「禁止」と歌っている。
これでは先ほどのおじさんのような”正義漢”が出現してもおかしくない。

この張り紙
どうにもこなれない文章なのはさておいて、
エサやりの弊害として、6項目挙げられている。

1.自分で餌を取る野生を失っていく。

これについては以前から言われていて、一般論としてはわからないでもないが、検証されているわけではない。
完全に人間に依存している家禽(アヒルなど)と野鳥を同列に論じるのは無理があると思うのだが。
餌付けを受けているカモたちも、春になるとちゃんと繁殖地に戻って行く。それは事実であり、短期間の餌付けで野生を失ってしまうなどということはない。
それは多くのバードウォッチャーの観察結果からも明らかである。

2.パンくずなどの餌による高カロリー摂取の蓄積で太り過ぎとなる。

右側の写真にも「太ったカモ」という説明がある。
これがこのキャンペーンで一番問題になった点だが、これまで何度も言ったように実際に確かめられたデータではない。「そういう話があった」「見た感じ、太っているように見える」などと言う極めて曖昧な根拠に基づいているらしいことが、徐々に明らかになって来た。
これもしつこいようだが、バードウォッチャーの目から見ると、写真のカモは全く普通の個体である。

3.行動が鈍くなり、猫などに襲われやすくなって、命を落として北へ帰れなくなる。

なかなかユニークな文章であるが、猫が野鳥を襲うことはよくあることである。
それより「猫を捨てないでください」と訴える方が本筋ではないか。

4.人を恐れず陸上を歩き回り、自転車などに轢かれやすくなる。

寡聞にして、カモが自転車に轢かれたというのは聞いたことがないが、右側の写真には「エサやりに群がったカモの群れに猛スピードの自転車が通り抜けたためショック死した」という驚くべき説明がある。
暴走自転車を取り締まるのが先なのでは??
カモよりもまず、歩行者を守るべきなのでは???

5.餌まきにより本来は河口附近に生息するユリカモメが多数飛来して餌を狙い、低空滑空をして、人を傷つけやすくなり危険が高まる。

ここでユリカモメに矛先が向けられ、あたかも危険な鳥であるかのような書き方になっている。
右側の写真には「餌取りが凶暴なユリカモメ」の表現があり、見過ごせない。
ユリカモメが多くの人を傷つけているのが本当ならば大問題であり、カモの太りすぎよりも後に来る話題ではないはずである。
ユリカモメに対する餌付けが行われている他の場所で、このような事実は全くない。
殊更ユリカモメを悪者に仕立てる意図が全くわからない。
なお、これも何度も言うようだが、不忍池は海から6キロしか離れておらず、遥かに内陸まで飛来するユリカモメがいるのは当然である。
この日、ユリカモメばかりでなく、ウミネコ、セグロカモメ、オオセグロカモメも観察できた。
セグロは別として、ウミネコとオオセグロは通常内陸までは来ない鳥である。

6.餌やユリカモメの糞で池が汚れる。

ここでも敢えてユリカモメの名前を出して糞害を訴えているのはなぜか。
この池を一番汚しているのは、ゴミや空き缶を捨てる人たちだと私は思うのだがどうだろうか。

「不忍池は羽休めの場所です」という記述も引っかかる。
ここは越冬地のはずである。
東京都は旅鳥の休憩地と見ているのだろうか。
越冬地ではないのに、餌やりのために越冬地になってしまっているという認識ならば、それは見当がはずれていると言わざるを得ない。

・・・・・・

東京都はこれ以上恥をさらす前に、こんな張り紙ははずした方がいい。
これがマスコミを通じて、全国に誤った知識を広めた罪は大きい。
「野鳥に対する過剰なエサやりは控えましょう」
東京都はせめてこれぐらいのキャンペーンにすべきだった。
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