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「落語 昭和の名人」第1巻-三代目古今亭志ん朝

小学館から「落語 昭和の名人」CD付きマガジンが刊行中。
隔週発売で全26巻、今年いっぱいの企画である。
落語ブームなどと言われて久しいが、昭和の名人たちの全盛期の録音が中心、本寸法のところに切り込んで来た企画であると言える。
登場する噺家は26人。
全て故人から選ばれていて、当然のことながら当代の談志、小三治、圓楽などは含まれていない。
東京の噺家中心だが、上方からは松鶴と、東京で活躍した小南が入っている。
これも健在の米朝は入っていない。
枝雀が入っていないのは残念だが、米朝が入っていないのに入れるわけにはいかなかったのかも。

巻数と人数が同じだが、1人1巻というわけではない。
1人2巻与えられているのが、
 志ん生、文楽、圓生、金馬、正蔵、小さん、馬生、志ん朝
の8人。
美濃部家だけで6巻というのはやっぱり凄い。

それにしても、第1巻が志ん生でなく志ん朝だったところにちょっと驚いた。
比較的若い聴き手には志ん生よりも馴染みが深いだろうとは思うが、志ん生から入った自分にはちょっと意外だった。

演目を見ると、それぞれの十八番を揃えている。
演目が発表になっているのは13巻まで。
最終巻が三木助になっているところに、最後は暮れの噺である「芝浜」で締めようという編集者の意図が見える。
今年の暮れは、三木助の芝浜を聞きながら旨い酒を呑みたいものである。
もちろん、夢にならないように。。。



とりあえず、第1巻から
華があり、艶があり、何ともいえない色気のある噺家だった。
変な表現だが、自分が女だったら絶対惚れるだろうと思う。
口跡も良く、啖呵も切れ、誰が聴いても面白い、理想の芸と言ってもいい。

この本の中には、文楽が志ん朝を評して、圓朝を継ぐのは彼しかいない、と語っていたという面白い逸話が紹介されている。
圓生を買っていなかった文楽がそんなことを言っていたというのはとても興味深い話である。
圓生よりも志ん朝の方が上だ、という文楽の意思表示か?
一方、その圓生も志ん朝を非常に高く評価していたようである。

収録されている録音は、40歳前後の脂が乗り切った頃の録音で、やっぱりいいものを選んでいると思う。
これを聴いて面白くなければ、落語はあきらめた方がいいかも知れない。
あまり落語を聴いたことがないと言う人は、ぜひ一聴を薦めたい。
■夢金
「ああ、夢だった」という話は「鼠穴」「心眼」「夢八」「夢の酒」など数多い。
ここでの主人公は強欲な船頭だが、一面憎めないところがある人間である。
船頭が出てくる噺でも「船徳」は初夏の噺で、暑いというところの表現が必要。
こちらは寒い雪の夜であって、その寒さ、冬の夜の静けさまでを表現するのが芸の真髄だろうか。

■品川心中
客を客とも思わない海千山千の花魁と、間抜けな客が心中するという噺。
客は結局一人で海に飛び込む羽目になり、女は金が出来たので逃げてしまうというひどい話。
男は命からがら親分のもとに逃げ帰り、ドタバタのひと騒動があって、そこで笑わせて切る。
多くの録音と同様、志ん朝もここで切っているが、本来はこの先があり、女に仕返しに行くことになる。
「品川心中」は名作であるだけに多くの噺家が手がけているが、志ん朝のものが最高と言われているらしいが、この録音を聞けば納得。

第2巻は志ん生
現在、第4巻まで出ている。
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