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名盤コレクション67 モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(ベーム/VPO)

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モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K527
カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団
ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団員(第1幕 舞台上の音楽)

ドン・ジョヴァンニ:シェリル・ミルンズ
騎士長:ジョン・マカーディ
ドンナ・アンナ:アンナ・トモワ=シントウ
ドンナ・エルヴィーラ:テレサ・ツィリス=ガラ
レポレロ:ワルター・ベリー
マゼット:ダーレ・デュージング
ツェルリーナ:エディット・マティス

録音:1977年 ザルツブルク音楽祭ライヴ

「ドン・ジョヴァンニ」は、モーツァルトの4大オペラ(「フィガロの結婚」「コシ・ファン・トゥッテ」「魔笛」と「ドン・ジョヴァンニ」)の中で、劇的な展開と深みのある表現で、特異な位置を占めている。
基本的には喜劇なのだろうが、悲劇的な要素も合わせ持っている。単に喜劇とも悲劇とも言えない、既成の概念では捉えられない魅力を持った傑作と言えるだろう。

ややアクの強いシェリル・ミルンズははまり役かも知れない。彼は「オテロ」のイヤーゴ、「トスカ」のスカルピアなどを得意としている。(イメージ的にピッタリの役だ)
女声陣は、アンナ・トモワ=シントウ、テレサ・ツィリス=ガラ、エディット・マティスと美女揃いだ。さぞ華やかな舞台だったろう。

1978年発売の3枚組LPからデジタル化した。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション67 モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番(ルフェビュール、フルトヴェングラー/BPO

モーツァルト/ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466
イヴォンヌ・ルフェビュール(ピアノ)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1954年5月15日 ルガーノでのライヴ

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モーツァルトが初めて短調で書いたピアノ協奏曲である。
それまでの、どちらかと言うとサロン的な作風とは一線を画した暗鬱なエネルギーに満ちた作品であり、当時の常識から逸脱した作風と言えるだろう。
また第2楽章の、美しい旋律と中間部の激しいソロとの対比も素晴らしい効果を挙げている。この楽章は映画「アマデウス」でも効果的に使われた。
協奏曲というジャンルにおいて、真に芸術としての表現を獲得した作品と言える。その意味で直接ベートーヴェンにつながって行く作品と言ってもいいだろう。

フルトヴェングラーとモーツァルトは、特別親和性が高いとは言えないかも知れないが、交響曲第40番、「グラン・パルティータ」、「ドン・ジョヴァンニ」などの名演もあり、必ずしも合わないとは言い切れない。
ピアノ協奏曲は、他に22番、2台のための10番が残されているだけだが、この20番の録音はフルトヴェングラーによるモーツァルト録音として最良のものと言われている。

イヴォンヌ・ルフェビュールはこの時55歳。
彼女は専らこのフルトヴェングラーとの共演で知られていて、他の演奏を聴く機会は極めて少ないが、この録音でもわかる通り、きわめて非凡な才能を持ったピアニストだった。
ヨーロッパ最高の女流ピアニストの一人とも言われていたという。
彼女が実力の割に知られていないのは、生涯の多くを教育に注いだためかも知れない。ルフェビュールの弟子には、ディヌ・リパッティやサンソン・フランソワがいる。
ルフェビュールの録音は意外に多く残されており、24枚組のボックスセットが存在するようだ。手ごろなものがあったら購入してみたいと思う。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション66 SP録音期のフルトヴェングラー

SP録音期のフルトヴェングラー
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

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CD-1
1 メンデルスゾーン/劇音楽「夏の夜の夢」序曲OP21(1929年録音)
2 バッハ/管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068~第2曲「エアー」(1929年録音)
3 シューベルト/劇音楽「ロザムンデ」D797~バレエ音楽第2番(1929年録音)
4 ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第1幕への前奏曲(1930年録音)
5 ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」~前奏曲と愛の死(1930年録音)
6 シューベルト/劇音楽「ロザムンデ」D797~序曲(1930年録音)
7 R・シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」OP28(1930年録音)

CD-2
1 メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」OP26(1930年録音)
2 ベルリオーズ/劇的物語「ファウストの劫罰」OP24~ハンガリー行進曲(ラコッツィ行進曲)(1930年録音)
3 シューベルト/劇音楽「ロザムンデ」D797~間奏曲第3番(1930年録音)
4 バッハ/ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調BWV1048(1930年録音)
5 ロッシーニ/歌劇「どろぼうかささぎ」序曲(1930年録音)
6 ブラームス/ハンガリー舞曲第1番ト短調(1930年録音)
7 ブラームス/ハンガリー舞曲第10番ヘ長調(1930年録音)
8 ウェーバー(ベルリオーズ編)/舞踏への勧誘OP65(1932年録音)
9 ワーグナー/楽劇「神々の黄昏」~ジークフリートの葬送行進曲(1933年録音)

CD-3
1 ベートーヴェン/劇音楽「エグモント」序曲OP84(1933年録音)
2 モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲(1933年録音)
3 モーツァルト/歌劇「後宮からの誘拐」序曲(1933年録音)
4 ロッシーニ/歌劇「セビリャの理髪師」序曲(1935年録音)
5 ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲(1935年録音)
6 ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」~第3導入曲(1935年録音)
7 モーツァルト/セレナーデ 第13番ト長調 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 (1936~37年録音)
8 J・シュトラウス/喜歌劇「こうもり」序曲(1937年録音)
9 R・シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」~リハーサル(1930年録音)


フルトヴェングラーは、電気録音初期の1926年に
 ベートーヴェン/交響曲第5番
 ウェーバー/歌劇「魔弾の射手」序曲
の2曲をポリドールに録音したが、当時の録音技術はまだ満足のいくレベルではなかった。
3年後の1929年までに、録音技術は画期的な進歩を遂げ、再びフルトヴェングラーはマイクロフォンの前で指揮棒を振ることになった。
この年に録音されたのは
 メンデルスゾーン/劇音楽「夏の夜の夢」序曲
 バッハ/管弦楽組曲第3番~第2曲「エアー」
 シューベルト/劇音楽「ロザムンデ」~バレエ音楽第2番
 シューベルト/劇音楽「ロザムンデ」~間奏曲第3番
の4曲。収録時間が短いSPの特性に鑑み、比較的演奏時間が短い曲が選ばれている。
この一連の録音に、フルトヴェングラー自身も手ごたえを感じたのだろう。翌1930年には一気に多くの録音が行われた。
その後、フルトヴェングラーは多忙を極めたため、ポリドールへのSP録音はわずかしか残されなかった。

このCDは、ポリドールへのSP録音のうち、一部を除いた全てが3枚に収められているほか、「ティル」のリハーサルの一部が収録されている。
収録されなかったのは、1926年の2曲と、1929年に録音された「ロザムンデ」の間奏曲である。
1926年録音の2曲に関しては、音質に関して問題が多いこと、「ロザムンデ」の間奏曲に関しては、原盤が失われている上に良好なSP盤が見つけられかったことによる。


1930年前後の録音としては、感動的なほどの音質である。
この時代の録音技術が、すでに相当のレベルに達していたことがよくわかる。
収録されている曲目を見ると、SP用に短い曲という条件のほか、レコード会社の販売戦略も関係しているだろうが、取っつきやすい曲目が選ばれているところが興味深い。
 舞踏への勧誘 
 「後宮からの誘拐」序曲
 「どろぼうかささぎ」序曲
 「セヴィリアの理髪師」序曲
 「こうもり」序曲
は、唯一の録音であるため、貴重である。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション65 ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」(ワルター/シンフォニー・オブ・ジ・エア)

ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」
ブルーノ・ワルター/シンフォニー・オブ・ジ・エア
1957年2月3日 トスカニーニ追悼演奏会ライヴ

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NBC交響楽団は、アルトゥーロ・トスカニーニの演奏をラジオ放送することを主な目的に結成されたオーケストラで、トスカニーニの指揮による多くの録音を残した。
1954年、トスカニーニ引退後は解散を余儀なくされたが、自主運営団体「シンフォニー・オブ・ジ・エア」として活動を続け、1964年まで存在した。

1957年1月16日、トスカニーニは89歳の生涯を閉じる。
2月3日、カーネギーホールで行われた追悼演奏会において、ワルターの指揮によりベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」が演奏された。
LP時代、知る人ぞ知る名盤として有名だった。これは1976年、ワルターの生誕100年を記念して発売されたLPである。

トスカニーニはワルターより9歳年長。
音楽性も人間性も全く異なる2人だが、互いを認めあい、親交を結んで来た。
ワルターがナチスドイツの迫害を受け、ドイツを離れざるを得なくなったとき、NBC交響楽団の指揮者としてアメリカに迎えたのがトスカニーニだった。
また1939年のルツェルン音楽祭の折、ワルターの娘グレーテルが夫に殺害されるという悲劇がワルターを襲った。
あまりのショックで指揮台に立てなくなったワルターに代わり、自らの予定をキャンセルして代役を務めたのがトスカニーニだった。
ワルターはこれらの恩義を生涯忘れなかった。トスカニーニの追悼演奏会の指揮をワルターが担ったのは当然と言えるだろう。


なお、このLPには余白にモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲(1951年録音)が収められているが、年代から言って「シンフォニー・オブ・ジ・エア」ではなく、「NBC交響楽団」と表記すべきだろう。
なお、1951年2月29日という存在しない日付が書いてあるが、2月24日の間違い。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション64 ラヴェル作品集(アルゲリッチ)

ラヴェル作品集
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

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1 夜のガスパール
   第1曲 オンディーヌ
   第2曲 絞首台
   第3曲 スカルボ
2 ソナチネ
3 高雅で感傷的なワルツ
1974年録音

ピアノで、超絶技巧を要する難曲という話題になると必ず挙げられるのが、ラヴェルの「夜のガスパール」である。
超絶技巧を要する曲というのは数多くあるが、中には技巧をひけらかすだけが目的のような作品もあり、高い芸術性を兼ね備えた作品ということになると、同曲のほかにシューベルトの「さすらい人幻想曲」やショパンの練習曲集あたりが挙げられるだろう。
「夜のガスパール」は、フランスの詩人、ルイ・ベルトランの詩集から3篇に着想を得て作曲された、3曲から成るピアノ曲集である。
特に第3曲の「スカルボ」が難曲として知られている。

アルゲリッチのCDとして、最もよく売れた1枚らしいが、アルゲリッチ自身はこれでも満足していないらしい。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション63 ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲(クライスラー、ブレッヒ/ベルリン国立歌劇場O)

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲
フリッツ・クライスラー、レオ・ブレッヒ/ベルリン国立歌劇場管弦楽団
1926年録音

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名盤選びをやっていると、どうしても古い録音が多くなるが、これはまた飛び切り古い1926年の録音。
驚くなかれ、少なからぬ人がこの94年前の録音を以っていまだに同曲の決定盤だと考えているのである。
聴き始めて3分過ぎ、クライスラーのヴァイオリンが入って来ると、そのまろやかな響きと自然体の演奏に身震いさせられる。
電気録音初期に行われたエポックメーキングな名盤で、ほとんど世界遺産的な録音だろう。

オーケストラの響きはさすがに貧弱だが、94年前の録音としては致し方ない.
時代を考えたら、よく掬い取られている録音と言っていいと思う。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション62 コダーイ/無伴奏チェロソナタ(シュタルケル)

コダーイ/無伴奏チェロソナタ
ヤーノシュ・シュタルケル
1950年録音

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コダーイの無伴奏チェロソナタは、バッハの偉大な作品から約200年後に書かれた傑作である。
超絶技巧を要する難曲として有名だが、チェロという楽器からかつてない可能性を引き出した作品として、バッハ以来の成果ということが出来るだろう。
名手シュタルケルの名刺代わりみたいな曲で、少なくとも4回録音している。
 1948年 モノラル
 1950年 モノラル
 1957年 モノラル
 1970年 ステレオ(東京での録音)

特に1950年盤は、モノラルながらその鮮烈な録音とともに、名盤として名高い。
バルトークの息子ピーター・バルトークによって録音されたもので、「松脂が飛び散る音まで記録されている」とまで言われる伝説的な名盤だ。
取り上げたCDには、1948年の録音も収録されているが、たった2年でこれほど違うかと驚かされる。
やっぱり、録音エンジニアの技量というのは大事なのだと改めて実感させられる。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション61 R・シュトラウス/歌劇「カプリッチョ」(ベーム/バイエルン放送SO)

リヒャルト・シュトラウス/歌劇「カプリッチョ」全曲
カール・ベーム指揮バイエルン放送交響楽団

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伯爵令嬢:グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)
伯爵(令嬢の兄):ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
フラマン:ペーター・シュライヤー(テノール)
オリヴィエ:ヘルマン・プライ(バリトン)
ラ・ローシュ:カール・リッダーブッシュ(バス)
クレーロン:タティアーナ・トロヤノス(メゾソプラノ)
ムッシュー・トープ:デイヴィッド・ソー(テノール)
イタリアの歌手(ソプラノ):アーリン・オジェー(ソプラノ)
イタリアの歌手(テノール):アントン・デ・リッダー(テノール)
家令:カール・クリスティアン・コーン(バス)
8人の召使:アルベルト・ガスナー、ヨーゼフ・ヴェーバー、ゲオルク・バウムガルトナー、パウル・ハンセン、テオドール・ニコライ、
カール・クライレ、ペーター・シュランナー、ハインリヒ・ヴェーバー(バイエルン放送合唱団員)
3人の楽士:ルドルフ・ケッケルト(ヴァイオリン)、ヴァルター・ノータス(ヴィオラ)、ヘトヴィッヒ・ビルグラム(チェロ)

録音:1971年4月、ミュンヘン

クレメンス・クラウスは1893年、ウィーンの生まれ。
実はウィーン生まれの大指揮者というのは意外に少なく、他にはエーリッヒ・クライバーがいるぐらいだ。クラウスがニューイヤーコンサートを仕切ったのは当然だろう。
そんなわけで、クレメンス・クラウス=シュトラウス・ファミリーの音楽、みたいな印象に見られがちだが、彼が最も得意としたのは、同じシュトラウスでもリヒャルト・シュトラウスの方である。

クラウスはシュトラウスと親交があり、シュトラウスの良き理解者だった。
シュトラウス最後のオペラ「カプリッチョ」は、2人の協働から生まれている。サブタイトルにも「クレメンス・クラウスとリヒャルト・シュトラウスによる音楽についての1幕の対話劇」とある。
「カプリッチョ」というタイトルも、クラウスの提案だという。

シュトラウスは、モ-ツァルトとの確執で名高い作曲家サリエリの「はじめに言葉、あとに音楽」というオペラの存在を知り、その翻案として風変わりなオペラの作曲を思い立った。
台本執筆を依頼されたのがクラウスである。
オペラは全1幕で切れ目なく演奏されるが、全体は13景からなる。


あらすじ(Wikipediaの記事から編集)
1775年頃、パリ郊外の城にあるロココ風のサロン。
音楽家フラマンと詩人オリヴィエは、伯爵令嬢マドレーヌに恋している。
2人は伯爵令嬢がどちらを選ぶかで言い争っているが、論争は次第に「音楽か言葉か」ということに発展する。
劇場支配人のラ・ローシュも加わり、大オペラ論争になる。
3人が去ると伯爵令嬢と兄の伯爵が登場し、音楽を賛美する伯爵令嬢を兄がからかう。
伯爵夫人は兄を、女優のクレーロンにぞっこんだから戯曲の方が好きなのね、と冷やかす。

一同で伯爵令嬢の誕生パーティーの打ち合わせをしているところに、パリから女優のクレーロンが到着する。
伯爵はクレーロンと、オリヴィエの書いたソネットを朗読する。
2人が去ると、オリヴィエは伯爵夫人の前でその詩を読み上げ、彼女に献上して愛を打明けようとする。
フラマンはこの詩に旋律をつけて歌にするが、韻がメチャクチャになったとオリヴィエは激怒する。
伯爵夫人は音楽が詩に輝きを与えたと言う。
オリヴィエが去った後、フラマンは伯爵夫人に愛を告白する。
彼女は明日の11時に書斎でと答える。

パーティーが始まる。
バレエやイタリア人歌手の二重唱が披露される。
劇場支配人が、計画中の二つの劇について語ると、一同は嘲笑したり反発したりする。
怒った劇場支配人は、自分の芸術論を熱く語る。
伯爵令嬢はオペラを作ってほしいと言うと伯爵が「今日ここで起こったことをオペラにしよう」と提案する。
皆は納得し、散会となる。

家令は伯爵令嬢に、「明日11時、オペラの結末を聞くために書斎で待っている」とのオリヴィエの伝言を伝える。
フラマンと約束をした同じ時刻と場所である。
どちらを選ぶべきか……伯爵夫人はハープを弾きながら、ソネットを今一度歌い、鏡の中の自分に問いかけるが答えは出ない。
伯爵夫人が部屋を出ると、この結論を暗示するかのようなホルンの動機が響き、幕となる。


オペラのテーマは「言葉が先か、音楽が先か」
なるほど、オペラは音楽なのか、演劇なのかという、根源的な疑問にも通じる。
ポピュラー音楽でも、「詩が先か、曲が先か」という議論は昔からある。そんなことも思い起こさせる。

舞台上で登場人物がオペラ論を戦わせると言う、意表を突いた作品である。
「ナクソス島のアリアドネ」を書いたシュトラウスならではの作品とも言えるだろうか。
シュトラウスは、その芸術論的な問題と、伯爵令嬢の恋愛問題とが並行して展開し、最後に結論を出さず、すべてが未決定で終わるということ、筋の展開は必ずしも上品である必要はないということをクラウスに提案した。

クラウスはこの作品以後もシュトラウスと協働作業を望んだが、シュトラウスは「この作品は自分の生涯の演劇創作の裁量の終結である。人は遺書をひとつしか書けないものだ」として断った。
ある意味では、オペラ作曲家リヒャルト・シュトラウスの到達点であったのだろう。

録音はそれほど多くはない。テーマがオペラ論でとっつきにくいせいだろうか。
ベーム盤はサヴァリッシュ盤と並んで、名盤とされている。
主要な配役に、これでもかという豪華メンバーを揃えている。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション60 シュトラウス・ファミリー・コンサート(クラウス/VPO)

シュトラウス・ファミリー・コンサート
クレメンス・クラウス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

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ニューイヤーコンサートのライヴを何枚か取り上げたが、これはクレメンス・クラウスによるスタジオ録音で、1952年から1954年にかけて行われた。
LP時代には3枚分売だった。クレメンス・クラウスの、ギリシャ彫刻のような端正な写真とともに思い出深いアルバムである。
クラウスは1954年に急死したが、とりあえず有名どころは残った形だ。


1952年録音
ヨハン・シュトラウスⅡ/喜歌劇「こうもり」序曲
ヨゼフ・シュトラウス/ポルカ・マズルカ「赤とんぼ」
ヨゼフ・シュトラウス/ワルツ「我が人生は愛と喜び」
ヨゼフ・シュトラウス/ポルカ「騎手」
ヨハン・シュトラウスⅡ/ポルカ「観光列車」
ヨハン・シュトラウスⅡ/ウィーンの森の物語
ヨハン・シュトラウスⅡ/ポルカ「ハンガリー万歳」
ヨハン・シュトラウスⅡ/エジプト行進曲
ヨハン・シュトラウスⅡ/ポルカ「クラップフェンの森で」
ヨハン・シュトラウスⅡ/ピチカートポルカ

1953年録音
ヨゼフ・シュトラウス/ワルツ「オーストリアの村つばめ」
ヨゼフ・シュトラウス/ポルカ「水車」
ヨゼフ・シュトラウス/ポルカ「憂いもなく」
ヨハン・シュトラウスⅡ/ポルカ・マズルカ「町と田舎」
ヨハン・シュトラウスⅡ/シュネル・ポルカ「狩」
ヨハン・シュトラウスⅡ/ワルツ「春の声」
ヨハン・シュトラウスⅡ/ワルツ「朝刊」
ヨゼフ・シュトラウス/鍛冶屋のポルカ
ヨハン・シュトラウスⅡ/チャールダーシュ・バレエ
ヨハン・シュトラウスⅡ/常動曲
ヨハン・シュトラウスⅡ/喜歌劇「ジプシー男爵」序曲

1954年録音
ヨハン・シュトラウスⅡ/ワルツ「美しき青きドナウ」
ヨゼフ・シュトラウス/ワルツ「天体の音楽」
ヨハン・シュトラウスⅡ/ワルツ「我が家で」
ヨゼフ・シュトラウス/ポルカ「休暇旅行で」
ヨハン・シュトラウスⅡ/ワルツ「芸術家の生涯」
ヨハン・シュトラウスⅡ/アンネンポルカ
ヨハン・シュトラウスⅠ/ラデツキー行進曲

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション59 ディーリアス/管弦楽曲集(バルビローリ指揮)

ディーリアス/管弦楽曲集
ジョン・バルビローリ指揮

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前の記事にも書いたが、今年はジョン・バルビローリの没後50年に当たる。
1970年、大阪万博の関連イベントの一環で、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団を率いて来日するはずだったが、直前に急死した。
バルビローリの録音では、特にマーラーとシベリウスが名高い。
その他、お国ものというか、ディーリアスの演奏の評価が高い。

フレデリック・ディーリアス(1862-1934)はイギリスの作曲家。
イギリスの作曲家というと、何か茫洋として取り留めのない印象があり、マイナーな印象がつきまとう。
ディーリアスはそういうイギリスの近代音楽のイメージと、良くも悪くも合致している作曲家と言えるかも知れない。日本での評価は今ひとつだ。

ディーリアスは晩年、視力を失ったが、友人であるエリック・フェンビーの助けを借りて創作を行った。(滝沢馬琴と似てるエピソード)
その2人のエピソードは「ソング・オブ・サマー」という映画にもなったそうだが、その映画については知らない。

ディーリアスの演奏に関しては、やはり母国イギリスの指揮者、トーマス・ビーチャムとジョン・バルビローリのものが名盤として知られている。

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ところで、この曲目一覧は、法律の文章のようにわかりにくいので、煩雑ではあるが順番に書き出して見た。(なぜこういうわかりにくい書き方をするのだろうか)

1 ブリッグの定期市(イギリス狂詩曲)
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 録音:1970年7月15~17日 ロンドン、キングスウェイ・ホール

2 狂詩曲「夏の庭園にて」
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 録音:1968年8月6~8日 ロンドン、アビーロードNo1スタジオ

3 アパラチア~リハーサル
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 録音:1970年7月16日 ロンドン、キングスウェイ・ホール

4 アパラチア(古い黒人奴隷の歌による狂詩曲)
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 アンブロジアン合唱団
 アラン・ジェンキンス(バリトン)
 録音:1970年7月15~17日 ロンドン、キングスウェイ・ホール

5 春初めてカッコウの声を聴いて(小管弦楽のための2つの小品~第1曲)
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 録音:1968年8月6~8日 ロンドン、アビーロードNo1スタジオ

6 川の上の夏の夜(小管弦楽のための2つの小品~第2曲)
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 録音:1968年8月6~8日 ロンドン、アビーロードNo1スタジオ

7 附随音楽「アブ・ハッサン」~夜明け前の夏の歌
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 録音:1968年8月6~8日 ロンドン、アビーロードNo1スタジオ

8 附随音楽「アブ・ハッサン」~セレナード
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 ロバート・ティアー(テノール)
 録音:1968年8月6~8日 ロンドン、アビーロードNo1スタジオ

9 歌劇「コアンガ」~ラ・カリンダ
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 録音:1968年8月6~8日 ロンドン、アビーロードNo1スタジオ

10 去りゆくつばめ
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 録音:1968年8月6~8日 ロンドン、アビーロードNo1スタジオ

11 歌劇「フェニモアとゲルダ」~間奏曲
 ジョン・バルビローリ/ハレ管弦楽団
 録音:1956年6月21日 マンチェスター、フリー・トレード・ホール

12 歌劇「村のロミオとジュリエット」~間奏曲「楽園への道」
 ジョン・バルビローリ/ロンドン交響楽団
 録音:1965年8月24日 ロンドン、キングスウェイ・ホール

13 歌劇「イルメリン」前奏曲
 ジョン・バルビローリ/ロンドン交響楽団
 録音:1966年7月14日 ロンドン、キングスウェイ・ホール

14 夏の歌
 ジョン・バルビローリ/ロンドン交響楽団
 録音:1966年7月14日 ロンドン、キングスウェイ・ホール

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション58 セル/ライヴ・イン・東京

セル/ライヴ・イン・東京
ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団
録音:1970年5月22日 東京文化会館

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1970年、大阪で万国博覧会が開かれたが、その関連行事として多くの海外オーケストラが来日公演を行っている。
中でもジョージ・セル率いるクリーヴランド管弦楽団の初来日は大きな話題になった。
セルとともに、当時45歳のピエール・ブーレーズが指揮者として参加、他にピアニストのゲーリー・グラフマンが同行した。

公演は5月15日から26日まで計11回行われた。
大阪で4公演、東京で3公演、京都、名古屋、札幌で各1公演
指揮はセル8公演、ブーレーズ3公演である。
 5/15 大阪 セル
 5/16 大阪 セル
 5/17 大阪 ブーレーズ
 5/18 大阪 ブーレーズ
 5/20 京都 セル
 5/21 愛知 セル
 5/22 東京 セル
 5/23 東京 セル
 5/24 東京 ブーレーズ
 5/25 札幌 セル
 5/26 東京 セル

ここに挙げたCDは、東京での初日、5月22日に行われた公演をNHKが録音したもので、ファンの間では語り草になっている名演。録音も最良のものと言っていいだろう。

プログラムは
 ウェ-バー/歌劇「オベロン」序曲
 モーツァルト/交響曲第40番
 シベリウス/交響曲第2番
 ベルリオーズ/ラコッツィ行進曲(アンコール)
という、なかなかバラエティに富んだもので、いずれも名演だが、特にシベリウスの交響曲は、何と表現したらよいか全くわからないほどの、空前絶後の名演である。
これほどに熱いエネルギーに満ち溢れたシベリウスは珍しい。それでいてシベリウスの音楽には必ず感じられる、北欧の冷涼な空気感も感じられる稀有の演奏だ。これをライヴで聴けた人は本当にうらやましいと思う。
セルはその完璧なオーケストラ・ドランビングと正確無比な指揮から、機械的で冷たい演奏をする指揮者などと称されることが多かったが、この来日公演で評価が一変した。
やっぱり1回のライヴにまさるものはないのだろうか。
ライヴとスタジオ録音は違う、というのはわかる。だがライヴを聴けない者はどうしたらいいのだろうと、複雑な心境にもなる。

なおこの時の公演では、最終日のベートーヴェンの「英雄」が、ことのほか壮絶な名演であったと言われているが、その録音は残っていない。


来日当日、悪天候のため飛行機が名古屋にダイバートしたことや、前日に公演を行ったカラヤンとホテルで談笑したことなど、色々なエピソードがライナーノーツに書かれている。
このライナーノーツは面白いが、書いたのはソニー・ミュージックのプロデューサー京須偕充(きょうすともみつ)である。京須偕充と言えば、落語専門のプロデューサーだと思っていたので、ここでその名前を見たのは意外だった。


この公演が行われた2か月後の7月29日、秋に初来日が予定されていたジョン・バルビローリが急死し、初来日は叶わなかった。翌日の7月30日、セルが死去し、2日続けて20世紀を代表する巨匠が相次いで亡くなるという悲劇が音楽界を襲う。
1950年代~60年代がクラシック音楽演奏の黄金時代だったことを考えると、月並みな言い方だがひとつの時代が終わった年だったと言えるだろう。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション57 ヴォルフ・リサイタル(シュヴァルツコップ&フルトヴェングラー)

ヴォルフ・リサイタル
アリザベート・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(ピアノ)
1953年8月12日 ザルツブルグ音楽祭ライヴ録音

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曲目
メーリケ歌曲集第24曲「春に」
メーリケ歌曲集第16曲「妖精の歌」
メーリケ歌曲集第53曲「さようなら」
メーリケ歌曲集第25曲「眠る幼な児イエス」
ゲーテ歌曲集第32曲「自然の現象」
ゲーテ歌曲集第26曲「お澄まし娘」
ゲーテ歌曲集第27曲「恋に目覚めた女」
ゲーテ歌曲集第29曲「アナクレオンの墓」
ゲーテ歌曲集第24曲「花の挨拶」
ゲーテ歌曲集第19曲「エピファーニアスの祭り」
イタリア歌曲集第11曲「どんなに長い間わたしは待ち望んでいたことでしょう」
イタリア歌曲集第32曲「なにをそんなにかかと怒っているの、いとしいひと」
イタリア歌曲集第12曲「いけませんわ、若いお方、そんな風になさったりしては」
イタリア歌曲集第25曲「私の恋人が食事に招いてくれたの」
スペイン歌曲集 世俗歌曲第26曲「私を花で包んでね」
スペイン歌曲集 宗教歌曲第9曲「主よ、この地には何が芽生えるか」
スペイン歌曲集 世俗歌曲第2曲「私の髪のかげで」
スペイン歌曲集 世俗歌曲第13曲「口さがない人たちにはいつも」
昔のうた、ケラーによる6つの詩~第6番「明るい月が遠くで冷たく」
女声のための6つの歌曲~第4番「夏の子守歌」
アイヒェンドルフ歌曲集第8曲「魔法の夜」
アイヒェンドルフ歌曲集第8曲「ジプシーの娘」

名のある作曲家の中で、フーゴー・ヴォルフほど悲惨な生涯を送った人は少ないだろう。
1860年、オーストリア生まれ。
熱烈なワーグナー信奉者で、反ワーグナーのブラームスとは対立した。
決定的に反ブラームスになったきっかけは、ブラームスを訪ねて自作を披露した際に、それを批判されたように受け取ったことだった。
ワーグナー信奉者であったのに、なぜブラームスに会いに行ったのかはわからないが、自らワーグナー対ブラームスの争いに参戦する形になってしまった。
37歳の時、梅毒の影響で精神に異常を来たし、自殺を図ったあと5年の間入院生活を続け、42歳で死去した。

ヴォルフの作品の多くは、ピアノ伴奏付きの歌曲である。
シューベルト、シューマンを頂点とするドイツ・リートの系譜の中で、ヴォルフの作品はその究極と言えるかも知れない。
主な歌曲集には以下のものがある。
 メーリケ歌曲集(全53曲)
 アイヒェンドルフ歌曲集(全20曲)
 ゲーテ歌曲集(全51曲)
 スペイン歌曲集(宗教歌曲10曲、世俗歌曲34曲)
 イタリア歌曲集(全46曲)


取り上げたのは、1953年のザルツブルク音楽祭で行われた演奏会の完全ライヴ録音。
ヴォルフ歌いとしては、やっぱりというべきか、男声ではフィッシャー=ディースカウ、女声ではシュヴァルツコップが筆頭に挙げられる。
20世紀最高のソプラノ歌手、シュヴァルツコップの本領はここにあったらしい、と感じさせる名歌唱を聴かせてくれる。
ヴォルフの歌曲は、ピアノパートにも独特の魅力があるが、フルトヴェングラーのピアノ伴奏も聴きものである。
フルトヴェングラーのピアノは、これ以外ではバッハのブランデンブルク協奏曲第5番があるのみだと思うので、その意味でも貴重である。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション56 ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」(セル/クリーヴランドO)

ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調OP55「英雄」
ジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団
1957年2月22~23日録音

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2020年とはどういう年だろうか。
まず、ベートーヴェンの生誕250年というのが思い当たる。
そして、ジョージ・セルの没後50年にも当たる。
であれば、セルによるベートーヴェンの交響曲全集が大きな話題になる(はずはないか。。。)

かの吉田秀和が絶賛した全集の中でも、最も評価の高い3番である。
完璧なアンサンブルで、この上ない明晰なベートーヴェンである。
曲の構造が余すところなく、一分の隙もなく、完璧な演奏で立ち現れる。
何百回となく聴いて来た名曲中の名曲が、「なるほど、こんな曲だったか」と再認識させられる。
駄曲をこんな風に演奏したら、実も蓋もないことになるだろう。こういうところが、「完璧だが冷たい演奏」などという誤解を生んだのかも知れない。

これは名盤中の名盤と言って差し支えないと思うが、同じく名盤の誉れ高い、フルトヴェングラー/VPOの1952年盤(スタジオ録音)とは対極にある演奏である。
タイミングだけでは一面的な比較になるが、
セル盤
第1楽章 14:48
第2楽章 15:36
第3楽章  5:33
第4楽章 11:32  トータル 47:29

フルトヴェングラー盤
第1楽章 16:08
第2楽章 17:20
第3楽章  6:34
第4楽章 12:12  トータル 52:14

もちろん、どちらがいい悪いということではない。音楽の解釈というのは幅広いのだ。
フルトヴェングラー盤は改めて取り上げる。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション55 ニューイヤー・コンサート1992(カルロス・クライバー/VPO)

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ニューイヤー・コンサート1992
カルロス・クライバー/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1992年1月1日録音

01 ニコライ/歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
02 ヨハン・シュトラウスⅡ/ポルカ・マズルカ「町と田舎」OP322
03 ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「オーストリアの村つばめ」OP164
04 ヨハン・シュトラウスⅡ/ポルカ「観光列車」OP281
05 ヨハン・シュトラウスⅡ/喜歌劇「ジプシー男爵」序曲
06 ヨハン・シュトラウスⅡ/ワルツ「千一夜物語」OP346
07 ヨハン・シュトラウスⅡ/新ピチカート・ポルカOP449
08 ヨハン・シュトラウスⅡ/ペルシャ行進曲OP289
09 ヨハン・シュトラウスⅡ/トリッチ・トラッチ・ポルカOP214
10 ヨーゼフ・シュトラウス/ワルツ「天体の音楽」OP235
11 ヨハン・シュトラウスⅡ/ポルカ「雷鳴と電光」OP324
12 ヨハン・シュトラウスⅡ/ワルツ「美しき青きドナウ」OP314
13 ヨハン・シュトラウスⅠ/ラデツキー行進曲OP228


カルロス・クライバーは何人か?
父のエーリッヒ・クライバーはウィーン生まれだが、カルロス(出生名はカール)が生まれた場所はドイツのベルリンだったらしい。
エーリッヒはユダヤ人ではないが、ナチスと対立してアルゼンチンに亡命したため、カールはスペイン風のカルロスと改名された。
その後、故国であるオーストリア国籍を取得したため、結局はオーストリア人ということになる。
ヨハン・シュトラウスの「こうもり」、リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」などを聴くと、やっぱりウィーンの血が流れていることを実感する。ニューイヤー・コンサートの名演も、さもありなんという感じだ。

ニューイヤー・コンサートには、1989年に次いで2度目の登場だが、いずれも名演として語り草になっている。
この年はウィーン・フィル創立150年に当たるのを記念して、創立者であるオットー・ニコライの代表作で始まった。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション54 ホロヴィッツ・ショパン・コレクション

ホロヴィッツ・ショパン・コレクション
ウラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ)

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CD-1
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調OP22(1945年9月22日、10月6日)■
ワルツイ短調OP34-2(1945年9月23日)
ポロネーズ第6番変イ長調OP53「英雄ポロネーズ」(1945年10月6日)
マズルカヘ短調OP7-3(1947年12月22日)
ワルツ嬰ハ短調OP64-2(1946年11月29日)
マズルカ嬰ヘ短調OP59-3(1950年5月10日)
マズルカ嬰ハ短調OP41-1(1949年5月11日)■
マズルカ変ニ長調OP30-3(1949年12月28日)
マズルカ嬰ハ短調OP30-4(1949年12月28日)
マズルカヘ短調OP63-2(1949年12月30日)■
マズルカ嬰ハ短調OP63-3(1949年12月30日)
マズルカ嬰ハ短調OP50-3(1949年12月30日)
ピアノ・ソナタ第2番変ロ短調OP35(1950年5月13日)
マズルカ嬰ハ短調OP30-4(1928年3月26日) ホロヴィッツ最初の電気録音

CD-2
バラード第1番ト短調OP23(1947年5月19日)
夜想曲嬰ヘ長調OP15-2(1947年5月19日)■
バラード第3番変イ長調OP47(1949年5月11日)■
バラード第4番ヘ短調OP52(1952年5月8日)
練習曲ホ長調OP10-3(1951年4月29日)
即興曲第1番変イ長調OP29(1951年10月11日)■
夜想曲ヘ短調OP55-1(1951年4月28日)
スケルツォ第1番ロ短調OP20(1951年4月29日)
夜想曲ホ短調OP72-1(1952年1月5日)
練習曲嬰ハ短調OP10-4(1952年1月5日)
マズルカロ短調OP30-2(1945年3月28日、ライヴ)■
幻想曲ヘ短調OP49(1948年2月2日、ライヴ)■
ポロネーズ第1番嬰ハ短調OP26-1(1950年4月24日、ライヴ)■

CD-3
幻想ポロネーズ変イ長調OP61(1951年4月23日、ライヴ)
マズルカ変ロ短調OP24-4(1951年3月5日、ライヴ)■
スケルツォ第1番ロ短調OP20(1953年2月25日、ライヴ)
ワルツイ短調OP34-2(1953年2月25日、ライヴ)
夜想曲ホ短調OP72-1(1953年2月25日、ライヴ)
スケルツォ第2番変ロ短調OP31(1957年2月23日)■
夜想曲ロ短調OP9-3(1957年2月23日)■
夜想曲ヘ長調OP15-1(1957年2月23日)■
夜想曲嬰ハ短調OP27-1(1957年2月23日)■
夜想曲変ホ長調OP9-2(1957年5月14日)■
舟歌嬰ヘ長調OP60(1957年2月23日)
スケルツォ第3番嬰ハ短調OP39(1957年1月15日)■

■は、これ以外に正規録音が残されていないレパートリー


ホロヴィッツがRCAに残した録音の中から、ショパンの作品のみを集大成したもの。
1928年に初めて行った電気録音から1953まで、及びコンサート活動からドロップアウトしていた間の1957年に録音されたものを、ほぼ発売時のLPの曲順に構成している。
ホロヴィッツが心身ともに充実していた時期の、最も得意としたショパンの演奏。意外と唯一の録音が多く、その意味でも貴重である。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション51、52、53 ヘンデル/オラトリオ「メサイア」3種

ヘンデル/オラトリオ「メサイア」HWV56

この曲をクリスマスに演奏するのは、アメリカの習慣らしい。アメリカにおける全曲初演がクリスマスイヴに行われたことに由来する。
バッハ・コレギウム・ジャパンの「メサイア」を何度か聴いているが、いずれもクリスマスシーズンである。
明日(21日)、軽井沢にバッハ・コレギウム・ジャパンの「メサイア」を聴きに行く。これは自分にとって3年目。年末近くの恒例行事になりつつある。

ヘンデルが1741年に、チャールズ・ジェネンズが聖書を元に書いた台本に曲をつけたもので、ヘンデルの代表作であるのみならず、バッハの「マタイ受難曲」と並ぶ、最も有名かつ優れた宗教作品である。
ただ、「マタイ」がキリストの受難という、一貫した物語で構成されているのに対し、「メサイア」には一貫した物語というのはない。だからストーリーを追うのではなく、とにかくその多彩で美しい音楽を楽しむことに集中することも可能である。
「メサイア」はエンターテインメント性が高いため、初演当時、真面目なロンドン市民には不評だったようだ。
ダブリンで行われた初演は大成功で、その後も一貫して愛好されている。それは現代でも同様である。

曲は3部に分かれている。演奏時間は第1部60分、第2部60分、第3部30分の2時間半が大体の目安である。
通常のコンサートでは、第1部のあとに休憩があり、第2部と第3部は続けて演奏される。
有名な「ハレルヤ・コーラス」は第2部の最後にあり、全曲の締めくくりは「アーメン・コーラス」である。
「メサイア」の楽器編成は控え目なものだが、時には大編成で演奏されることもある。
バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏ではオケ、合唱とも18人前後で、最初聴いた時はその小ささが意外だった。

なお「メサイア」の歌詞は英語である。
ヘンデルはドイツ生まれだが、イギリスに帰化したのでイギリス人である。台本を書いたジェネンズもイギリス人。イギリスで書かれたので、英語なのは当然である。
ドイツ語による演奏も多いが、その中にはモーツァルトによる編曲もあり、モーツァルトの作品としてケッヘル番号もついている。(K572)


今回も3種類取り上げる。

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カール・リヒター/ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ジョン・オールディス合唱団
ヘレン・ドナート、アンナ・レイノルズ、ステュアート・バロウズ、ドナルド・マッキンタイア
1972~73年録音

ここでもリヒター盤が規範となりうる。
リヒターは1964年にミュンヘン・バッハ管弦楽団と録音している(ドイツ語)が、あらゆる意味でこちらが上である。
厳格な演奏はリヒターならではのものだが、重々しくなりすぎることはない。
ジャケット写真は、自分が所有しているものとは違うが、ダリの「十字架の聖ヨハネのキリスト」を用いた印象的なもので、LP時代からのもの。


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ジョン・エリオット・ガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団
マーガレット・マーシャル、キャサリン・ロビン、チャールズ・ブレット、アンソニー・ロルフ・ジョンソン、ロバート・ヘイル、ソウル・カーク
1982年11月録音

オリジナル楽器による演奏ではこれがベストだろう。
メサイアの独唱は通常4人だが、ここでは6人を起用している。
「ハレルヤ・コーラス」は意外にあっさりしているが、「アーメン・コーラス」を最も感動的に聴かせるのはこの盤だと思う。


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トレヴァー・ピノック/イングリッシュ・コンサート
アーリン・オジェー、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、マイケル・チャンス、ハワード・クルック、ジョン・トムリンソン
1988年1月録音

自分にとっては馴染みの深い演奏である。名歌手揃いであり、一番安心して聴ける名盤と言えるだろう。
オリジナル派の録音としては、厚みのある音響である。
「ハレルヤ・コーラス」はこれぐらい華やかであった方がいいと思う。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション48、49、50 バッハ/クリスマス・オラトリオ3種

バッハ/クリスマス・オラトリオBWV248

リヒター
■カール・リヒター/ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団
グンドゥラ・ヤノヴィッツ、クリスタ・ルートヴィッヒ、フリッツ・ヴンダーリッヒ、フランツ・クラス
1965年録音

クイケン
■シギスヴァルト・クイケン/ラ・プティット・バンド
エリーザベト・ショル、カテリーナ・カルヴィ、クリストフ・プレガルディエン、ウェルナー・ヴァン・メヘレン
1997年12月16日録音(ライヴ)

ガーディナー
■ジョン・エリオット・ガーディナー/イングリッシュ・バロック・ソロイスツ&モンテヴェルディ合唱団
ナンシー・アルジェンタ、ルース・ホルトン、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター、オラフ・ベーア、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、アンソニー・ロルフ・ジョンソン
1987年録音


クリスマス・オラトリオは、クリスマスシーズン(12月25日の降誕祭から1月6日の顕現節まで)に演奏するために、1734年に作曲された。
「オラトリオ」という名称になっているが、実質は連作カンタータである。

ドイツ語のテキストによる全6部、64曲から成り、本来は1日に1部、6日にかけて演奏する。
 第1部 12月25日(降誕祭第1祝日)
 第2部 12月26日(降誕祭第2祝日)
 第3部 12月27日(降誕祭第3祝日)
 第4部 1月1日(新年、キリストの割礼と命名祝日)
 第5部 1月の第1日曜日
 第6部 1月6日(顕現節)

現代のコンサート、CD鑑賞においては全6部をまとめて聴くことが一般的である。
演奏時間は約2時間半。25分前後×6部と考えて良い。
この長さは、「マタイ」や「メサイア」などの大曲とほぼ同じである。一般的な映画の長さとも同程度で、このあたりは皆うまくできていると思う。

クリスマス・オラトリオは、バッハの3大宗教作品(マタイ受難曲、ヨハネ受難曲、ロ短調ミサ曲)と比較すると、キリストの生誕を扱っているだけに祝祭的要素が強い。
第1部第1曲から、掴みは十分で、心からウキウキさせられる音楽である。バッハの作品でこれほど心躍る曲はないのではないかと思う。
時々、頭の中でこのメロディーが鳴っていることがある。もちろん、それは気分がいい時に限られる。


名盤として3つを取り上げた。
リヒター盤は、現代のピリオド楽器派の演奏に比べると、ゆったりっとしたテンポで荘重な音楽を聴かせる。
この曲に限らず、いつもリヒターの演奏が規範になる。
独唱者も豪華メンバーであるし、トランペットはモーリス・アンドレが担当しているらしい。

ガーディナー盤は軽快で現代的な表現である。祝祭的な雰囲気が最も強いように思われる。

クイケン盤はブリュッセルでのライヴ録音だが、素晴らしい演奏である。今、この盤を聴きながら書いている。

長くなるが、全体の構成をWikiから編集した。
第2部冒頭の第10曲のみ、歌のない管弦楽曲である。
なお第3部の冒頭第24曲が、最後(第35曲のあと)に繰り返されるため、CDのトラックNOが曲番とずれることがある。
第1部
 第1曲 合唱「歓呼の声を放て、喜び踊れ」
 第2曲 レチタティーヴォ「その頃皇帝アウグストより勅令出で」
 第3曲 レチタティーヴォ「今ぞ、こよなく尊きわが花嫁」
 第4曲 アリア「備えせよ、シオンよ、心からなる愛もて」
 第5曲 コラール「如何にしてわれは汝を迎えまつり」
 第6曲 レチタティーヴォ「しかしてマリアは男の初子を生み」
 第7曲 コラールとレチタティーヴォ「彼は貧しきさまにて地に来りましぬ/たれかよくこの愛を正しく讃えん」
 第8曲 アリア「大いなる主、おお、強き王」
 第9曲 コラール「ああ、わが心より尊びまつる嬰児イエスよ」
第2部
 第10曲 シンフォニア
 第11曲 レチタティーヴォ「このあたりに羊飼いがおりて」
 第12曲 コラール「差し出でよ、汝美わしき朝の光よ」
 第13曲 レチタティーヴォ「御使彼らに言う」
 第14曲 レチタティーヴォ「神いにしえの日アブラハムに約し給いしことの」
 第15曲 アリア「喜べる羊飼いらよ、急げ、とく急ぎて行けや」
 第16曲 レチタティーヴォ「かつその徴として」
 第17曲 コラール「かの暗き畜舎に伏す者」
 第18曲 レチタティーヴォ「さらば行けかし」
 第19曲 アリア「眠りたまえ、わが尊びまつる者、安けき憩いを楽しみ」
 第20曲 レチタティーヴォ「するとたちまち御使のもとに」
 第21曲 合唱「いと高き所には神に栄光あれ」
 第22曲 レチタティーヴォ「その調べもて、汝ら御使よ、歓呼して歌えかし」
 第23曲 コラール「われらは汝の軍勢にま交りて歌いまつらん」
第3部
 第24曲 合唱「天を統べたもう者よ、舌足らずの祈りを聞き入れ」
 第25曲 レチタティーヴォ「御使たち去りて天に行きしとき」
 第26曲 合唱「いざ、ベツレヘムに行きて」
 第27曲 レチタティーヴォ「主はその民を慰めたまえり」
 第28曲 コラール「主この全てをわれらになし給いしは」
 第29曲 アリア(二重唱)「主よ、汝の思いやり、汝の憐れみは」
 第30曲 レチタティーヴォ「かくて彼ら急いで」
 第31曲 アリア「わが心よ、この幸なる奇蹟をば」
 第32曲 レチタティーヴォ「然り、わが心には必ずや内に保たん」
 第33曲 コラール「われは御身をひたすらに保ち」
 第34曲 レチタティーヴォ「しかして羊飼いらは再び踝を回して帰り」
 第35曲 コラール「喜び楽しめ」
 第24曲(繰り返し) 合唱「天を統べたもう者よ、舌足らずの祈りを聞き入れ」
第4部
 第36曲 合唱「ひれ伏せ、感謝もて、讃美もて」
 第37曲 レチタティーヴォ「八日みちて」
 第38曲 レチタティーヴォとアリオーソ「インマヌエル、おお、甘き言葉よ!/イエス、こよなく尊きわが生命よ」
 第39曲 アリア「答えたまえ、わが救い主よ、汝の御名はそも」
 第40曲 レチタティーヴォとアリオーソ「ならばいざ!汝の御名のみ/イエス、わが歓びの極み」
 第41曲 アリア「われはただ汝の栄光のために生きん」
 第42曲 コラール「イエスわが始まりを正し」
第5部
 第43曲 合唱「栄光あれと、神よ、汝に歌わん」
 第44曲 レチタティーヴォ「イエス、ユダヤのベツレヘムにて」
 第45曲 合唱とレチタティーヴォ「この度生まれ給えるユダヤ人の王はいずこにいますか?/その君をわが胸の内に求めよ」
 第46曲 コラール「汝の光輝は全ての闇を呑み」
 第47曲 アリア「わが暗き五感をも照らし」
 第48曲 レチタティーヴォ「ヘロデ王これを聞きて」
 第49曲 レチタティーヴォ「いかなれば汝らはうろたえ慄くか?」
 第50曲 レチタティーヴォ「王、民の祭司長ら」
 第51曲 アリア(三重唱)「ああ、その時はいつ現るるや?」
 第52曲 レチタティーヴォ「いと尊きわが君はすでに統べ治めたもう」
 第53曲 コラール「かかる心の部屋は」
第6部 
 第54曲 合唱「主よ、勝ち誇れる敵どもの息まくとき」
 第55曲 レチタティーヴォ「ここにヘロデひそかに博士らを招きて」
 第56曲 レチタティーヴォ「汝偽り者よ、思うがままに主を倒さんとうかがい」
 第57曲 アリア「その御手のひとふりは」
 第58曲 レチタティーヴォ「彼ら王の言葉を聞きて」
 第59曲 コラール「われらはここ馬槽のかたえ汝がみ側に立つ」
 第60曲 レチタティーヴォ「ここに神、夢にて」
 第61曲 レチタティーヴォ「さらば行けよ!足れり、わが宝ここより去らずば」
 第62曲 アリア「さらば汝ら、勝ち誇れる敵ども、脅せかし」
 第63曲 レチタティーヴォ「陰府の恐れ、今は何するものぞ?」
 第64曲 コラール「今や汝らの神の報復はいみじくも遂げられたり」

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション47 ホロヴィッツ・プレイズ・クレメンティ

ホロヴィッツ・プレイズ・クレメンティ
ウラディミール・ホロヴィッツ(ピアノ)

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曲目
ピアノ・ソナタ ハ長調OP33-3
 録音:1979年4月7、8、15、22日(ライヴ)STEREO
ピアノ・ソナタ ト短調OP34-2
 録音:1954年10月16、21日MONO
ピアノ・ソナタ ヘ短調OP14-3
 録音:1954年10月21日MONO
ピアノ・ソナタ 嬰ヘ短調OP26-2
 録音:1954年10月16、21日MONO
ピアノ・ソナタ 変ロ長調OP47-2~第3楽章「ロンド」
 録音:1950年5月17日MONO

ムツィオ・クレメンティ(1752~1832)は、イタリア生まれだが、生涯のほとんどをイギリスで過ごした。
ピアニスト、作曲家、教育者であった他、出版や楽器製造の分野でも活躍した。
モーツァルトより4歳年上のクレメンティは、生涯に100曲以上のピアノ・ソナタを作曲した。
1781年に、皇帝ヨーゼフ2世の前でモーツァルトとピアノの競演を行ったが、モーツァルトはクレメンティを酷評したため、それがクレメンティの評価を下げることになってしまった。
モーツァルトは同業者に対して酷評する傾向があるので、その辺は割り引いて考えなければならないだろう。逆にベートーヴェンはクレメンティを高く評価した。クレメンティのソナタはベートーヴェンにも多大な影響を与えたと思われる。
一方、クレメンティは1817年に、100曲からなる高度なピアノ練習曲集「グラドゥス・アド・パルナッスム」を完成させたが、カール・タウジヒがこの中から30曲を選んで練習曲集として出版した結果、単なる技術習得のための教育的作品と受け取られることになってしまった。
ドビュッシーは、子供の領分の第1曲「グラドゥス・アド・パルナッスム博士」で、この曲集を皮肉っている。

今日、クレメンティを最も有名にしているのは「6つのソナチネOP36」で、ソナチネ・アルバム」にも収められていて、ピアノ学習者が必ず通過する教育的な作品である。

クレメンティは、モーツァルトの評価も影響したのか教育的な側面だけが強調され、長らく正当に評価されて来なかったが、ホロヴィッツが好んで取り上げた結果、その真価が認められるようになったのはさすがというほかはない。
このCDは録音年代も隔たりがあり、モノラル録音とステレオ録音が混在しているが、ホロヴィッツの妙技とともにクレメンティ作品の魅力を伝えてくれる、絶好の1枚と言えるだろう。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション46 ブラームス/交響曲第2番(フルトヴェングラー/BPO)1952年録音

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ブラームス/交響曲第2番
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1952年5月7日(ライヴ)


フルトヴェングラーによるブラームスの2番は、3番と同じく3種類と少ない。
1 1945年1月28日 VPO(ムジークフェライン、ライヴ)
2 1948年2月22~25日 LPO(セッション録音)
3 1952年5月7日 BPO(ミュンヘン、ドイツ博物館ライヴ)

以前、45年のライヴ盤をベストとして取り上げた。
あれは大戦中、しかもフルトヴェングラー本人が亡命を企てている最中の演奏ということもあり、異常とも言える緊張のもとで行われた演奏で、一般的な意味での名盤とは言えないかも知れない。
ただ、戦後になりミュンヘンのドイツ博物館コングレス・ザールで行われた演奏も、基本的には45年盤と変わらない。
「牧歌的」などというイメージはどこを探してもなく、フルトヴェングラーはこの曲を、ベートーヴェンから直接つながる偉大な交響曲の系譜の中の一曲と位置づけていることがよくわかる。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

名盤コレクション45 ブラームス/交響曲第3番(フルトヴェングラー/BPO)

ブラームス/交響曲第3番
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1949年12月18日 ベルリン、ティタニア・パラスト(ライヴ)

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写真は40年ほど前のLP

フルトヴェングラーによるブラームスの3番は意外に少なく、以下の3種類のみ知られている。
 1 ベルリン・フィル 1949年12月18日 ベルリン、ティタニア・パラスト(ライヴ)
 2 ベルリン・フィル 1954年4月27日 ベルリン、ティタニア・パラスト(ライヴ)
 3 ベルリン・フィル 1954年5月14日 トリノ(ライヴ)

この曲は「ブラームスの英雄交響曲」と呼ばれることがあるが、それは初演者ハンス・リヒターの言葉らしい。
これは、2番が「ブラームスの田園交響曲」と呼ばれたこととの対比だと思う。
2番は確かに田園的な雰囲気がないこともないが、3番を「英雄」と呼ぶのは少々ピントがずれているだろう。
今はどちらの交響曲も、そのような言い方はあまりされていない。
強いて言えば、フルトヴェングラーの演奏が英雄的表現を示していると言えるかも知れない。

 

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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